開成の正門 (撮影/小林哲夫)
開成の正門 (撮影/小林哲夫)

 現役官僚の卒業校として知られる私立中高一貫校の開成(東京都荒川区)。東大合格者数ランキングでは40年連続1位が確定的となった。東大に進学し、官僚となるOBが多いのだ。そんな開成の気質をOBたちに聞いた。

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 年明け早々、2人の開成・東大OBが世間を騒がせた。

 一人は東京オリンピック・パラリンピック組織委員会事務総長の武藤敏郎氏(1962年高校卒業=以下、かっこ内は高校卒業年)である。東大法学部出身。2001年に大蔵省から財務省となったときの最初の事務次官だ。組織委新会長選びをめぐり、前会長の森喜朗氏から後継指名を受けた元日本サッカー協会会長の川淵三郎氏に辞退するよう促したとされる。

 もう一人は、オンライン診療の先駆け的存在と言える医療ベンチャー・メドレーの豊田剛一郎氏(03年)だ。東大医学部出身で、妻はキャスターの小川彩佳氏。豊田氏は週刊文春不倫を報じられ、代表取締役を辞任して取締役に異動。21年12月期の役員報酬とストックオプションの未行使分(32万株、16億円相当)を返上した。

 開成出身の著名人には東大出身が多い。

(週刊朝日2021年4月2日号より)
(週刊朝日2021年4月2日号より)

 衆院議員の井上信治氏(88年)は、昨年9月に発足した菅義偉内閣で万博担当相・内閣府特命相として初入閣した。東大法学部卒業後、建設(現・国土交通)官僚を経て03年衆院選で初当選。開成観を語ってくれた。

「開成は組織的で集団が好きと言われますが、一部は当たっています。下町の学校ゆえ、サラリーマン、商店の子弟が多く、ハングリーさがあり、自分が良ければいいではなく、みんなで日本をどうにかするという大きな志を抱いています。そんな開成のカラーが大好きでした。個人が際立つ麻布との違いでしょうか。麻布とは勉強でも遊びでもよくケンカしました」

 井上氏は永田町・霞が関開成会(永霞会)の事務局長を務める。開成OBの国会議員、省庁職員が集まる親睦会だ。井上氏によれば、現在、国会議員は9人、国家公務員は1府12省庁で約600人、そのうち事務次官など幹部クラスが10人近くいるという。

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