■草上の昼食


エドゥアール・マネ 1863年頃・油彩・カンヴァス 89.5×116.5cm

「これはオルセー美術館にある同名作品の小型ヴァージョンです。女性ヌードは女神や擬人像としてなら許された時代なので、明らかに現実のパリジェンヌそのもののこうした裸体は当時の人々に嫌悪感を与え、大スキャンダルになりました」

【草上の昼食】 エドゥアール・マネ 1863年頃・油彩、カンヴァス・89.5×116.5cm コートールド美術館 (c)Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)
【草上の昼食】 エドゥアール・マネ 1863年頃・油彩、カンヴァス・89.5×116.5cm コートールド美術館 (c)Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)

■フォリー=ベルジェールのバー
エドゥアール・マネ 1882年・油彩・カンヴァス 96×130cm

「舞台はパリのミュージックホール。背後に大きな鏡があり、シャンデリアや観客が映っています。スタンドバーで働く女性は『酒と春を売っている』と言われていました。このヒロインが虚ろな目をしているのは、それに関係しているのでしょうか。謎を解く鍵は、画面右の紳士にあるのかも」

■ネヴァーモア
ポール・ゴーガン 1897年・油彩・カンヴァス 60.5×116cm

「涙をためたこの少女は、ゴーガンの14歳の現地妻。タイトルの『ネヴァーモア』は、明らかにエドガー・アラン・ポーの詩『大鴉』の引用なのに、ゴーガン本人は否定しているのが面白い。少女の背後の2人が誰で何をしているのかも謎です」

【ネヴァーモア  ポール・ゴーガン】 1897年・油彩・カンヴァス・60.5×116cm (c)Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)
【ネヴァーモア  ポール・ゴーガン】 1897年・油彩・カンヴァス・60.5×116cm (c)Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)

(本誌/鮎川哲也)

【コートールド美術館展―魅惑の印象派】
12月15日(日)まで
東京都美術館(東京都台東区上野公園8-36)
2020年1月3日(金)~3月15日(日)
愛知県美術館(名古屋市東区東桜1-13-2)
2020年3月28日(土)~6月21日(日)

週刊朝日  2019年10月25日号