18歳でホストになったのは、大学に自分の居場所はないと判断したからだ。一度しか生きられないのに、なんとなくキャンパスライフを送っている暇はない。ダイナミックに人生を変えるなら、ホストだ。そして自分で起業するなら、一生困らないだけのお金をためてからだと心に決めたのだ。


ROLANDさん(撮影/鈴木芳果)
ROLANDさん(撮影/鈴木芳果)

「人間って、お金に困ると心に余裕がなくなってしまうでしょう。でも仕事をする動機がお金以外に何もなかったらおもしろくないじゃないですか。金儲けよりやりがいを追い求める仕事のほうが、自分は楽しいと思うので。でもそう考えると、まあこれくらいあったら生きていけるかなあというものは、きちんと手元にあったほうがいいかなと考えたのです」

 いまローランド様はホストクラブのほか、メンズ美容サロンなど、さまざまなビジネスを展開している。

「『来てよかった』『楽しかった』。そんな“夢”を提供できる空間の完成度を今後もっと高めていければと思っています。エンターテインメント事業が俺の天職ですから」

ところでローランド様の背景に広がる英文字。これはアップル創業者、故スティーブ・ジョブズのスピーチの一節(Stay hungry, Stay foolish=貪欲であれ、愚か者であれ)では?

「そのとおりです。スタンフォード大学の卒業式で行った祝辞の一節ですよ」

 そういえば、ジョブズも早々に大学を中退し、起業家として名を馳せた人物だ。

「好きなんです。シンプルな生き方を追求した人ですし、仕事をする上でお金より世の中に衝撃を与えることを一番の目標にしていたところを尊敬しています」

 なるほど。ローランド様の“無駄をよしとしない”合理主義は、ジョブズの影響を受けていたのか。

 ではローランド様。最後に人生を前向きに生きる極意についてレクチャーを。

「後ろ向きに生きることは非常に生産性のないことです。たとえばデパートという目的地があったとしましょう。後ろ向きでそこまで行くのは危険ですし、簡単なことを自ら難しくしているのと同じです。だから嫌なことがあっても後ろは振り向かないこと。前を向いて歩けば、すんなり目的地に行けますから。いま目の前にあることに意識を集中して、というのがローランドからのアドバイスです」

 頭角を現す人間は、やはり人の心に刺さるものを持っているもの。ローランドとは、筋の通った“一筋縄ではいかない男”なのである。

次のページ
次の王子様はいまをときめく…