王様カット以上は、カーテンで仕切られたスペースで施術。撮影用に少し開けているが、完全に閉じると2人の世界に(撮影・松永卓也)
王様カット以上は、カーテンで仕切られたスペースで施術。撮影用に少し開けているが、完全に閉じると2人の世界に(撮影・松永卓也)

 近頃、強烈な個性を持った美容院が流行っているという。そう聞けば、調べて行ってみたくなるのが「記者魂」というもの。しかし個性的な工夫とやらのほとんどが、女性客を対象にしたものばかり。

【写真】メイド美容師に記者もデレデレ(全10枚)

 当たり前といえば当たり前だが、世のお父さんを対象に特化した美容院はないのか? むきになって調べたところ……。あった、これだ!

「おかえりなさいませ!」

 ここは東京・秋葉原。実は記者は、電化製品を買いに行くことはあっても、萌えを求めて足を踏み入れたことはない。趣味嗜好が違うからだが、それはさておき、男性に相応しい店はここしかない。あえてメイドがカットする美容院を訪ねてみた。

付には写真付きの出勤リストが。美容師は5人おり、今日の出勤は3人。指名はオプションとなり1000円~。予約なしの来店もとい「帰宅」も可(撮影・松永卓也)
付には写真付きの出勤リストが。美容師は5人おり、今日の出勤は3人。指名はオプションとなり1000円~。予約なしの来店もとい「帰宅」も可(撮影・松永卓也)

 カットは6千円から1万4千円まで。幅広い料金設定に驚いていると、メイドさんがソファーに座るように促してくれた。彼女は細かく書かれた料金表を示してくれながら、こちらの目を見つめる。ハンドケア、肩トントン(!)、チェキ、お菓子アーン(?)などのサービスの有無による違いだ。

 ふと気がつくと、王様カット(1万1千円)を選んでしまっていた。

 まずはカーテンで仕切られた半個室に案内された。担当者は、店長で「永遠の21歳」すみれさん。非現実的なイメージを守るため俗っぽい話題を避けつつ、素早く的確にちょきちょき。外見と技術のギャップに、こちらは次第にどぎまぎ。

(左)店長の春野すみれさん。記者を「だんなさま」と呼んでいた(右)れいかさんも美容師資格を持っているが、まだカットは任されていない。美容院としての厳しい徒弟制度が存在する。「メイドだからいい加減だってことはないんですよ」の声に、心で頷き声援を送る(撮影・松永卓也)
(左)店長の春野すみれさん。記者を「だんなさま」と呼んでいた(右)れいかさんも美容師資格を持っているが、まだカットは任されていない。美容院としての厳しい徒弟制度が存在する。「メイドだからいい加減だってことはないんですよ」の声に、心で頷き声援を送る(撮影・松永卓也)

 シャンプーは、アシスタントのれいかさんの出番。

「シャンプーだけも受け付けているんです。毎日通う会社員さんもいらっしゃいます」

 シャンプー代は、最もお安いのが2千円。やはり各種オプションがあり、王様スパなら1万円になる。

 頭皮スパも頼んでみたら、入念にやってくれる。洗髪の時にも感じたが、思いのほか指の力が強い。実はしっかりとした経験を積んでいるとみた。

 れいかさんは以前は有閑マダムが利用する店で働いていたそうで、

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なぜ、メイド美容室に?