西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)さん。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「女性の色気について」。

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【鼻の孔】ポイント

(1)女性の色気をどこに感じるかは人によってそれぞれ

(2)私の場合、鼻の孔の形が色気の感覚を呼び覚ます

(3)どういう鼻の孔の形がいいのかは一概に言えない

 前回の記事でマスクの弊害を述べたときに「私は女性の色気は鼻と口元にあると思っています。マスクをした女性には恋心がわきません」と書きましたが、それについて、もう少し詳しく説明したいと思います。

 コロナ禍になってから、診察室に入ってくる女性の患者さんも全員、マスクをしています。患者さんが椅子に腰掛けると、「いかがですか」と近況をうかがってから、まずは脈診です。次に舌診となり「舌を見せてください」とお願いします。そこで、患者さんはマスクをはずします。古い患者さんは顔立ちを覚えていますので、マスクをはずしたときにも特別な感情はわかないのですが、新しい患者さんは、そのときに初めて鼻と口が登場するものですから、どきっとすることがあります。「好い顔だなあ」とか「色気があるなあ」といった感情がわくこともあります。

 女性の色気をどこに感じるかというのは、食べ物の好みが人により異なるように、人によってそれぞれでしょう。

 以前、知りたいことがあって、昔の映画雑誌をめくっていたら、「1930年代の名花たち」というページに行き当たりました。その瞬間、若き日のキャサリン・ヘップバーンの顔が目の前に迫ってきました。すごい色気です。ほかにマーナ・ロイとかラナ・ターナーなどの顔も並んでいたのですが、こちらは全く迫力がないのです。

 キャサリン・ヘップバーンの色気の出どころは、すぐにわかりました。それは、彼女の鼻の孔にあるのです。

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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