西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)さん。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「苦手な食べ物」。

*  *  *

【好き嫌い】ポイント

(1)健康のために苦手なものも食べようとは思わない

(2)まずは生野菜がだめで、ずっと口にしたことがない

(3)時間を無駄にしないためにも好きなものだけ食べよう

「好きなものを少しだけ食べる」を食養生の基本にしている私としては、嫌いなものを口にしません。実は私は苦手な食べ物がたくさんあるのです。でもそれを健康のために食べなければいけないなどとは、考えたことがありません。

 まず、生野菜がだめです。私が育ち盛りの戦中戦後は、生野菜などありませんでした。のちに生野菜が食卓に上るようになったとき、「これはキリギリスの食べ物。人間の食べ物ではない」と思ったことを覚えています。それ以来、生野菜は口にしていません。

 以前、オーストラリアのがん患者さんの研修施設を訪れたことがあります。ここが売り物にしているのは、食事療法と瞑想です。私を団長に15人ほどが1泊の予定で行きました。ところが最初の日の昼食に生野菜が出ました。しかも、食器はなくて、ただテーブルの上に葉っぱが重ねて並べてあるのです。これを見て、私はもうダメだと思いました。予定を変更して泊まらず、その日のうちに退散しました。

 そういえば、ハワイのホノルルに初めて行ったときも、食事に葉っぱが大盛りになった大皿が出てきました。これでハワイの印象がぐっと、悪くなりました。

 次はイタリア料理です。なかでもマカロニとスパゲッティは見るのも嫌です。映画「ローマの休日」の主演オードリー・ヘプバーンは好きな女優ですが、スパゲッティが好物だと聞いて、ぞっとしました。昔はそうでもなかったのに、最近は蕎麦やうどんも嫌いになってしまいました。麺類で食べるのは、ラーメンとタンメンだけです。

著者プロフィールを見る
帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

帯津良一の記事一覧はこちら
次のページ