※写真はイメージです (GettyImages)
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 万年与党と万年野党が支配する緊張感ゼロの国会に、モウ我慢ならん。それなら自分が出るしかない! 4月投開票の統一地方選では、そんな候補者が増えている。いま、地方政治の現場が熱い。

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「キャ~、かわい~」

 今年1月、千葉県市川市で開かれた「二十歳の集い(旧成人式)」で、振り袖姿の女性たちが黄色い声をあげて、演説中の男性に近づいてきた。

 演説をしていたのは、4月23日投開票の市川市議選に立候補する予定の野口淳(じゅん)さん。1級建築士で、所属するNPOでは市川市の街づくりをしてきた。政治の世界を目指したのは、新型コロナウイルスがきっかけだった。

「生活が苦しい人に食品を配るフードバンク事業を始めたら、民間のボランティア団体と市川市の行政が連携できていないことを痛感しました。『それなら僕が市川市政の中に入って、つながりをつくろう』と思ったのがきっかけでした」

 演説では、生まれ育った市川市への熱い想いを語る。ただ、若い女性が「かわい~」と言っていたのは、残念ながら野口さんではない。お目当ては、横にいる愛犬のシロ。ソフトバンクのCMに出てくる白犬にソックリで、女性たちはシロを触りに近寄ってきたのだった。

 シロは体重が40キロある雑種の大型犬だが、性格はおとなしい。誰からも愛される人気者だ。一方、「犬を政治活動に利用している」との批判もあるが、そうせざるをえないのだという。

「公職選挙法の規定で、任期満了日の6カ月前になると、僕の顔写真が入ったポスターは掲示できなくなります。それで、シロをイメージキャラクターにしたポスターを作って街中に貼りました。今では、市川市ではシロのほうが有名になってしまいました」(野口さん)

 なお、任期満了日まで6カ月以内になっても、本人以外の政治家や著名人と2人以上で写ったポスターは掲示しても問題ない。政治の世界で「二連ポスター」と呼ばれる合法的抜け穴だ。野口さんも二連ポスターを制作するつもりだったが……。

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