さらなる懸念材料が、公明党の支持母体である創価学会の集票力低下だ。昨夏の参院選で比例区の得票は約618万票と、2021年の衆院選での比例票の合計から約93万票減り、01年に「非拘束名簿式」が導入されて以降、最も少なかった。

「支持者の高齢化などから、今回はさらに減らすだろう。その上、山口4区の衆院補選に立憲民主党から前参院議員の有田芳生氏が出馬することによって、波乱要素が出てきた」(野上氏)

 有田氏といえば、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に詳しく、立民としては自民党と教団の関係を統一選全体の争点に位置付ける狙いもある。

 ある自民党幹部は「問題を蒸し返されかねない。票にどう影響が出るか。不満票が日本維新の会に流れかねない」と強い懸念を示す。そもそも、報道されてきたように多くの議員がこれまで旧統一教会関係者から選挙の際に支援を受けていたとすると、今回、岸田首相が旧統一教会と「関係を断つ」と明言したことが集票にどう影響するだろうか。五十嵐仁・法政大名誉教授(政治学)は次のように話す。

「旧統一教会は、自民党系を中心に地方政治に深く浸透していたことが明らかになりました。今回の地方選で、自民党の候補者たちが本当に関係を断ち切れたか、注視する必要があります。さらに、昨年末の安保3文書改定により戦後日本の安全保障政策の大転換がなされて初めての国政選挙になります。有権者がどういう判断を下すか、蓋を開けてみるまで読めません」

 どうせ国民は忘れている、などと慢心していると、命取りになりそうだ。(本誌・村上新太郎)

週刊朝日  2023年4月7日号より抜粋