小袖海岸にある記念碑。背後の山にはドラマで使用された監視小屋がある
小袖海岸にある記念碑。背後の山にはドラマで使用された監視小屋がある

 今年4月、NHK朝ドラ「あまちゃん」が放送から10年を迎える。「家族のような存在」だと言うヒロインを演じたのんさんへの思いを、達増拓也・岩手県知事が語った。

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 のんさんは家族のような存在。「あまちゃん」放送当時や終了直後は高嶺(たかね)の花だった。2016年に私が「プロジェクトN」を立ち上げて以降、家族だという思いを強くした。

 震災と復興をテーマにしたドラマでヒロインを演じ、大変お世話になった。その彼女が事務所とのトラブルを抱えて苦しんでいると聞き、「岩手県が一肌脱ぎ、恩返ししようじゃないか」と、プロジェクトNを始めた。こちらのローカル番組には出ていたので「岩手県は違うぞ」という気持ちもあった。当地には、逃亡中の源義経を平泉の藤原秀衡が迎え入れた歴史もある。逆境におかれた彼女の姿が復興に苦慮する岩手県と重なって見えた。プロジェクトNの一環で、岩手銀行やJA全農いわてのCMのほか、様々なイベントに出てもらううち、県民と苦楽を共にする家族、同志のような存在になった。

「じぇじぇじぇ」が流行語になり、岩手県に大きな自信を与えてくれた。

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