縫製作業の様子。「認定NPO法人シャプラニール=市民による海外協力の会」提供
縫製作業の様子。「認定NPO法人シャプラニール=市民による海外協力の会」提供

 エシカル消費とは、社会的課題の解決を考え、課題に取り組む事業者を応援する消費行動のこと。近年、実践する人が増えているという。

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「できるだけ自然に寄り添って生活し、できるだけ環境に負荷をかけないようにしています。衣服は新品を買わず、古着か、オーガニックのコットンや麻でつくるブランドのものを買っています」

 こう話す20代の反田遥南さんは「異文化が好きで海外生活にあこがれていた」という。学生時代はフィリピンの大学に留学し、貧困地域で調査活動なども経験した。大学を卒業後はシステムエンジニアの仕事などを経て、自然に寄り添って米や野菜づくりをするブラウンズフィールド(千葉県いすみ市)が運営するカフェで働いている。

 日本の街中には、流行に敏感で低価格のファストファッションがあふれている。そうした衣類は、海外の縫製工場で働く低賃金の労働者に支えられていることが多いと反田さんは言う。また、流行のある衣服は大量のロスが発生しやすく、捨てられることが多いとも。

 反田さんは生産地への特別な思いから、ある衣料ブランドを選ぶ。「タイのツアーに参加し、村を巡らせてもらった。山岳民族が、自然の草木で染めていました」と話す。そのブランドの衣服を購入することで、村にはお金が入る。自然素材なので、着古した後に捨てるときも環境に負荷をかけないという。

 日常で何か買うとき、反田さんは「目の前のものだけで考えず、その背景にあるものを考える」と話す。流行で選び、大量に買うのでなく、直しながら長く使うことを基準に考えている。

 コーヒー好きの野口裕貴・エクネス(福井県鯖江市)専務取締役は、1日に数杯を楽しんで飲んでいる。コーヒー豆はハンドミルで挽き、電動ミルを使わない。以前はペーパーフィルターでこして飲んでいたが、いまは有田焼のセラミックフィルターなど、洗って何回も使えるものにする。使用済みコーヒー豆は乾かし、トイレなどの消臭剤に活用している。「ごみを出さないようにしている」と話す。

 コーヒー豆はフェアトレードでないものが多いと聞き、野口さんは、有名なコーヒー店やメーカーの商品で環境などに配慮したものを選ぶ。フェアトレードとは、正当な対価を生産者に支払い、必要以上の農薬を使って環境を破壊せず、生産者の労働環境や生活水準のほか、自然環境にも配慮する、公正で公平な取引のことをいう。

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