グッチ菊三さん
グッチ菊三さん

 大雪でも電話の一つもよこさない子どもたちにイラッとしたら、目玉が飛び出るほど高い電気代を見てますますイライラ……。それなのに首相のご子息は公務で海外旅行ときたら、愚痴のひとつも言いたくなりますよね。愚痴を言うにも、ちょっとしたコツがあるんです。

【図表】グッチ菊三さんによる「愚痴聞き5カ条」「愚痴言い3カ条」はこちら

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「愚痴」とは、そもそも仏教用語で「愚かな心の迷い」を意味する。108ある煩悩のなかでもスペシャルな三つの煩悩のひとつという意味の、「三毒の愚痴」という言葉もあるらしい。

 一方、今は愚痴というと、言ってもしょうがないことをつい嘆いてしまうこと。コレをこぼすときには多少「とほほ」な気分をともなうことも多く、高らかに叫ぶ「不平、不満」とは、微妙に違うものとされている。

 というわけで、言っても何も始まらないことはわかっていても、愚痴りたいことが次から次へと湧いて出てくる今日このごろ。例えばスーパーで。やたら軽くなっているティッシュペーパーのボックスとか、数年前より同じ商品が2倍の値段になっているひなあられとか。プーチンでも習近平でもいいのだが、誰かに向かって小一時間愚痴りたい気分になることも。

■気付けば20分も愚痴りっぱなし

 そして何より個人的にこぼしたいのは「週刊朝日」の休刊だ。私が本誌で仕事をするようになったのは、1990年代の終わりごろ。以来、飯島愛さんの連載を担当したり、今も続く「ドン小西のイケてるファッションチェック」を担当したり。休刊を聞いたときには「思い出の詰まった実家が地上げで更地に」なったような、何とも言えない喪失感を感じたものだ。

 ここ10年近く、編集部の人たちが奮闘していたのも見てきた。「時代の趨勢」とすんなり納得してしまうのも、何だか悔しい。そうだ、京都……じゃなくて愚痴聞き屋さん、行こう。というわけで、愚痴聞きのベテラン、その名もグッチ菊三さんに愚痴を聞いてもらいつつ、正しい愚痴の聞き方言い方のコツを教わった。

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