岸田首相
岸田首相

 ようやく底を打った感がある岸田文雄政権の内閣支持率。岸田首相の聞く力と合意形成に関して、元総務相、元鳥取県知事の片山善博さんが課題を指摘する。

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 岸田首相は「聞く力」を標榜(ひょうぼう)しますが、現状の政権運営を見ると、最大派閥、安倍派の言うことをよく聞かざるを得ない面はあるかもしれません。「死せる孔明、生ける仲達(ちゅうたつ)を走らす」という故事を思い出します。もっとも、安倍晋三元首相を孔明に擬することには異論が多いでしょうが。総理の座についたのだから、安倍派に対して自信をもって向き合ったほうが良い。

 人の話を聞いて、それをうのみにしたり、言いなりになったりするのは聞く力ではない。立場の異なる声や主張に耳を傾け、それを自分の中で統合して、政策に具現化しないといけない。そのプロセスの一過程なんです。聞いてノートにつけているだけでもダメです。そういう意味で、今のところ本当の聞く力は発揮されていないようです。

 岸田首相の合意形成のプロセスはあまり評価できません。もう少し賢明なやり方があるはずです。物事を官邸でこそこそ決めてから、説明する手法を取ることが多い。でも、民主政治というのは決める前に、多種多様な意見をまとめなくてはいけないので、違いをまず認識して、それをどうやってまとめていくかが大事です。まとめる過程では捨て去る意見もあり、その人たちに納得してもらうには説得しなければいけない。

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