プロボクシングに転向した那須川天心。写真:山口フィニート裕朗/アフロ
プロボクシングに転向した那須川天心。写真:山口フィニート裕朗/アフロ

 キックボクシング47戦無敗で「神童」の異名を取り、プロボクシングに転向した那須川天心(帝拳)が、スーパーバンタム級ノンタイトル6回戦で、日本バンタム級4位・与那覇勇気(真正)と都内の有明アリーナで4月8日に対戦することが決まった。

 ボクシングを取材するライターは、このマッチメイクに驚きを隠せなかったという。

「デビュー戦で日本ランカーと対戦するのは極めて異例です。与那覇は変則的な動きから重いパンチが特徴です。日本タイトルに縁がないですが、高校時代は全国選抜大会のバンタム級で優勝するなど、将来は世界ランカーになれると期待された選手でした。天心との対戦が決まり、モチベーションは高いでしょう。スピードは天心が上ですが、前半で仕留めきれないようだと、与那覇にもチャンスが出てくる。簡単な相手ではありません」

 ボクシング関係者は「一気に駆け上がりたいという思いが、天心サイドから伝わってくるマッチメイクです。デビュー戦で与那覇を倒せば、2戦目で日本タイトルをかけた相手と戦える。世界チャンピオンになるのは険しい道ですが、そのポテンシャルは十分に持っている。楽しみですね」と期待を込める。

 日本ボクシング界には、世界を代表するスーパースターがいる。井上尚弥(大橋)だ。昨年12月に行なわれた世界バンタム級の一戦でWBO王者のポール・バトラー(イギリス)に11ラウンドKO勝ちを飾り、アジア人でも史上初となる4団体統一王者となった。井上はさらに極みを目指す。今年1月にスーパーバンタム級へ階級を上げることを表明した。

 運命の糸か。那須川は井上と同じ階級でデビュー戦となり、格闘技ファンからはネット上で「天心VS井上を早く見たい」、「天心が井上尚弥と対戦したら最高」と井上との対戦が実現することを心待ちにする声が上がっている。だが、前出のボクシング関係者は「その可能性は現時点でゼロに近い」と私見を口にする。

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