阿部サダヲ(あべさだを)/ 1970年生まれ。千葉県出身。92年から大人計画に参加。2019年大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」では主人公の〝田畑政治〟を熱演。08年に映画「舞妓Haaaan!!!」で日本アカデミー賞優秀主演男優賞、18年に映画「彼女がその名を知らない鳥たち」でブルーリボン賞主演男優賞を受賞。パンクコントバンド「グループ魂」では〝破壊〟の名でボーカルを務める。(撮影/写真映像部・加藤夏子)
阿部サダヲ(あべさだを)/ 1970年生まれ。千葉県出身。92年から大人計画に参加。2019年大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」では主人公の〝田畑政治〟を熱演。08年に映画「舞妓Haaaan!!!」で日本アカデミー賞優秀主演男優賞、18年に映画「彼女がその名を知らない鳥たち」でブルーリボン賞主演男優賞を受賞。パンクコントバンド「グループ魂」では〝破壊〟の名でボーカルを務める。(撮影/写真映像部・加藤夏子)

 映画「シャイロックの子供たち」で、かつての池井戸潤作品の主人公とはまた違う、熱血ではない銀行マンを演じた。特別な健康法を持たない阿部サダヲさんが、「年を取ったな」と感じる瞬間とは?

【写真】銀行マン役も似合う。阿部サダヲさん主演映画「シャイロックの子供たち」の場面カットはこちら

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 健康のために何かやっていることはあるかと聞くと、「そういうのは僕、全然ないです。誰かが、『朝起きてまず白湯を飲みます』とか言うのを聞いたら、すぐ『嘘だろ』って思っちゃう」と言って笑った。

「ただ、最近は体を冷やさないようにはしているかもしれないです。昔より、体が冷えることが好きじゃなくなった。昔は、薄着のほうがかっこいいと思っていて、軽装を好んでいたし、あんまり寒さを感じたことがなかった。でも、最近は寒いのは嫌なのでちゃんと着込みます。軽装を好んでいた理由はわからないですけど、もしかしたら、野球部だったことが影響しているのかもしれない。ちょうど僕らの世代って、『健康優良児』って言葉があって、冬でも半ズボンが偉いみたいな風潮だったから……。でも、今思うと、昔の健康法や部活の訓練って変なものが多かったですよね。汗をかいても水飲んじゃいけないとか。うさぎ跳びとか、整地用のローラーを引っ張るとか。まさに『巨人の星』の世界で、あの訓練が何の役に立ってるのか全然わかんない」

 話を聞いていると、どうやら疑い深い性格のようだ。でも、なぜそうなったかには訳がある。過去に「いい」とされていた体の鍛え方や健康法が、あるとき突然「間違いだった」と知らされ、「じゃあ、(主に野球部時代の)あの頑張りは全て無駄だったのか?」と、せっかくの努力を裏切られたことが何度となくあったからだ。以来、まだ体に無理が利く30代ぐらいまでは、体調が悪いときも病院には行かず自力で治してきた。

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