使用済み家電を扱う専用工場(ヤマダホールディングス提供)
使用済み家電を扱う専用工場(ヤマダホールディングス提供)

 原材料の値上がりなどを背景に、家電製品が高額化している。こうしたなか、中古を選択肢のひとつとして考える人も増え始めている。安全性など特有の問題もあり、専門家に選び方を聞いた。

【図表】“中古も選択肢” 購入時の注意点は?コチラ

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「中古家電のニーズは高まっていると感じている」

 こう話すのは、家電業界コンサルティングなどのクロスの得平司代表。原材料の値上がりや円安による輸入部品価格の上昇などで、メーカーや商品によるが、家電製品は平均7%から15%ぐらい値上がりしているという。

 得平さんによると、新製品だと大型洗濯機は20万~30万円、容量400リットルの冷蔵庫が25万~30万円はする。「月14万~15万円ぐらいの年金生活者は家電の新製品に手が届かなくなっている」と話す。60代後半の得平さんが身近で聞く年金生活者の話として、「いつまで生きられるかわからない。高いものはいらないという人は多い」とも。

 最近は不用な洋服や鞄などをネットで売買する個人も増えている。ただ、洋服などと違い、中古家電は安全性や衛生面など特有の問題もある。使用期間が長くなると経年劣化が進み、故障も起きやすい。

 中古家電を購入する方法はどのようなものがあるのか。得平さんによると、(1)リユース商品、(2)メーカーが再整備したリファービッシュ商品、(3)リサイクルショップ、(4)個人取引がある。

 リユース商品は、使用期間が比較的短いものを業者が引き取り、点検、補修、清掃などをして販売する。たとえば、家電量販店のヤマダデンキなどが取り扱っている。ヤマダデンキを傘下に持つヤマダホールディングスの清村浩一執行役員は、全国85店舗でリユース商品を販売し、「店舗に並べると1週間ぐらいで完売する」と話す。同等の規格の新品に比べ、3分の1程度の安さも人気の要因という。

 清村さんによると、リユース商品は当初、大学生や工場建設現場の作業員など、期間限定の利用者を想定していた。しかし実際の購入者層は幅広く、清村さんは「経済的に安さを求めるお客さんは想定外だった」という。

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