昨年12月4日、シナロケとして最後のステージで演奏する鮎川誠さん(撮影・石澤瑤祠)
昨年12月4日、シナロケとして最後のステージで演奏する鮎川誠さん(撮影・石澤瑤祠)

 ロックバンド「シーナ&ロケッツ」の鮎川誠さんが1月29日、膵臓がんのため亡くなった。74歳だった。

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 カメラマンでギタリストの石澤瑤祠さんは、鮎川さんの妻でシーナ&ロケッツのヴォーカリストのシーナさんが2015年に他界した後からの鮎川さんとシナロケを撮影し続けてきた。

 昨夏には東京・神田の2軒の飲食店で写真展を開催。2カ所での同時開催ということで、展示する写真を「ハードな鮎川さん」と「やさしい鮎川さん」に分けたという。

「ロッカーらしいハードな鮎川さんもかっこいいですが、やさしい表情をみせる鮎川さんもまたいいなぁと思って。いつもかけていたサングラスの奥に見える目をどう撮るかということを常に考えていました」(石澤さん)

 サングラス越しの視線に、自身もギタリストの石澤さんは驚いたという。

「鮎川さんの目はいつもオーディエンスを見ている。ギターを弾いて歌う人って、たいてい目を伏せたり閉じたりするけど、鮎川さんは目を閉じない。そこが好きでしたね」

 6月28日には写真展の開催を記念したトークライブが神田のライブハウス「THE SHOJIMARU」で開催され、鮎川さんも参加。最後にはスペシャルセッションが実現し、「マイ・ウェイ」などスタンダードナンバー3曲を披露した。

 当日のセッションでベースを弾いたのがシーナ&ロケッツの奈良敏博さん、ドラムは会場となったライブハウスのオーナーでもあり、MOJO CLUBやザ・タイマーズのドラマー杉山章二丸さんがつとめた。

「小さなライブハウス、小さなアンプだったからこそ他の誰にも出せない鮎川さんの存在感を感じられた気がします。キャリアを重ね音楽の流行が変わっても、スタイルを変えずに最後までやり通した。日本が誇れるギタリストです」(章二丸さん)

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