ぎんなん女子部
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 受験シーズンが本格化している。孤独な闘いを続ける受験生の支えとなっているものの一つがYouTubeだ。難関大学の合格者に人気の配信者に、番組を始めたきっかけや裏側を聞いた。

【おすすめチャンネル】東大・京大合格者に人気の高学歴YouTuberがこちら

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「受験は基本的に参考書とネットで乗り切りました。その分野をきちんと学ぶなら参考書は欠かせませんが、入門的に理解するにはYouTubeが最も効率的。使い分けが大事だと思います」

 こう語るのは、東京大学理科3類に現役合格した同大の男子学生(20)だ。

 関西トップレベルの中高一貫校出身で、中学高校と東大受験専門塾に通った。高校進学後、塾の宿題が増えて負担を感じるように。2年生でほぼ通わなくなり、3年生では塾の教材を使って自宅勉強に切り替えた。

「受験が近づくと塾で新しいことはほとんど学ばず、ひたすら演習問題を解いて復習する感じでした。それに時間を割くなら、家でやったほうが効率的だと思ったんです」

 わからないことが出てきたときはどうしたのか。

「全部、ネットで調べました。例えば過去問だと、解説を参照すれば8割方内容が理解できる。それでもわからない内容は、検索すれば定義や関連記事が出てきます。数学や物理の各分野を詳しく解説するYouTubeチャンネルもあり、知らない分野を学ぶにも不都合はありませんでした」

 孤独な受験生活を支える「お供」となったのもYouTubeだった。

「勉強しながらバックミュージックのような感じでゲーム実況チャンネルを流して聞いていました」

 この学生のように、勉強のモチベーションを高めるツールとしてYouTubeを活用する学生は、決して少なくない。

 本誌が昨春、東大・京都大学合格者を対象に実施したアンケートで「受験勉強の役に立ったアプリ」を聞いたところ、最も多く挙がったのがYouTubeだった。

「YouTubeで勉強すると楽しくて気晴らしになります」(東大理2)と勉強の手段として使う人や、「合格発表の動画や受験生向けの動画を見て、気合を入れ直していた」(京大工)、「勉強とは全然違う分野で活躍している人の動画を見ると、勉強だけが全てじゃないと思え、客観的に自分を見つめ直せた」(東大理1)というように、受験生活で生まれた悩みを解消する人もいた。

 志望大学出身者のチャンネルを見てモチベーションを高めるという回答も多かった。冒頭の男子学生も、こう話す。

「受験期は東大の先輩であるベテランちさんのチャンネルを息抜きに見ていました。入学後は試験勉強対策としてヨビノリチャンネルを見ています。大学の授業よりもコンパクトにまとまっていてわかりやすく、数学の試験は全部ヨビノリで乗り切ったと言っても過言ではありません」

 受験生からも大学生からも支持を集める高学歴YouTuberたち。そんな彼らの素顔に迫った。

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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