6年ぶりの日本人横綱誕生となるか
6年ぶりの日本人横綱誕生となるか

 3月の春場所で綱取りの期待がかかるのが、大関の貴景勝だ。1月の初場所で13場所ぶり3度目の優勝。横綱の照ノ富士がケガで休場し、出場力士で最高位の1人大関として責任を果たした。平幕力士の優勝が続いた中で意地を見せ、「大関という地位は勝たないといけない地位なので。そういう意味では、つらい時とか、頑張らないといけない時もあるんですけど、それでも誰もが大関になれるわけではないので、本当にこの重圧を感謝に変えて、この2年間取り組んできました」と優勝インタビューで語り、大きな拍手を浴びた。

 明治31年1月の春場所以来、125年ぶりの一横綱一大関という異例の状況で、重圧を乗り越えた。優勝したことは高く評価されるべきだろう。ただ、12勝3敗という結果と、相撲内容共に絶対的な強さはまだ感じられない。2日目の初黒星を喫すると11、12日目も連敗。相星決戦となった千秋楽で平幕・琴勝峰を豪快なすくい投げで破ったが、大関、横綱不在の中でこの戦いぶりをどう評価するか。

 取材するテレビ関係者は、「昔はカッとなって冷静さを失う場面もあったが、今場所は落ち着いていましたね。ただ、横綱に昇進するのは早いかなと。前に出られずに紙一重の相撲が多かったし、押し相撲を封じられると苦しくなる。日本人横綱の出現が待ち遠しいですが、綱取りのハードルを下げるべきではない。14勝以上であれば十分に資格はありますが、そうでなければ大関で力をつけるべき。12、13勝して横綱に上がっても今の相撲では短命に終わってしまう可能性がある」と指摘する。

 横綱昇進の内規は「大関で2場所連続優勝もしくは、それに準ずる成績を挙げた者」と定められている。貴景勝は昨年の九州場所で優勝決定巴戦に敗れたが、12勝を挙げた。そして、今場所も12勝で優勝。勝負強さが増しているのは間違いない。綱取りの期待が大きい背景は、他の大関力士の不安定な戦いぶりが影響している。

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