小池百合子東京都知事。久々に勝負を仕掛けてくるか!?
小池百合子東京都知事。久々に勝負を仕掛けてくるか!?

 菅氏のこれらの発言は同日発売の月刊誌「文藝春秋」2月号に掲載されたインタビューとほぼ同じで、ベトナム同行の記者が記事内容を確認したのに対して答えたにすぎない。だが、発言はこれにとどまらず、18日のラジオ番組では少子化対策について、「これだけ物価高の中で消費税の議論というのはあり得ない」とバッサリ。以前から岸田首相と相克の関係にある菅氏が厳しい批判を繰り広げたことで、いよいよ「岸田降ろし」への動きが始まるのではないかと受け止められ、永田町に波紋が広がった。

 菅氏に近い無派閥議員がこう語る。

「菅氏は首相の政権運営を懸念している。政権が行き詰まれば、菅氏こそが『ポスト岸田』政局の旗印になる。『そのとき』に向けて、存在感をアピールする意図があったのではないか」

 菅氏は、自身を支持する無派閥グループをはじめ、二階派とも距離が近い。今後の展開次第では、現在は政権を支える森山派(旧石原派)や安倍派の一部とも連携し、150人規模の陣容を整えられるという観測もある。政治アナリストの伊藤惇夫氏はこう話す。

「現段階では真意は測りかねますが、菅氏は自らの再登板は望んでいないはず。河野太郎デジタル相などを前面に打ち出して、自分の思うような人事や政策を実現させるキングメーカーを目指しているのではないか」

 自民党岸田派幹部は、菅前首相の動向について「自分が首相になるときに安倍派や二階派のお世話になっておいて、派閥批判はおかしい」と不快感を示した。

■小池氏の現金案 岸田官邸は騒然

 菅氏が突然、岸田批判を始めたきっかけについては、「NHK会長人事への遺恨ではないか」との見方もある。

 岸田首相は昨年12月、任期満了に伴うNHKの後任会長に元日銀理事の稲葉延雄氏を充てる人事を決めた。NHKといえば、所管の総務行政を牛耳ってきた菅氏が大きな影響力を持つと言われる、いわば“菅氏のシマ”だ。

「菅氏は意中の財界人を押し込もうとしたが、首相に阻止された。利権を侵されたことへの怒りと焦りがあるのだろう」(前出の政府関係者)

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