古川雄大(ふるかわゆうた)/ 1987年生まれ。長野県出身。2007年ミュージカル「テニスの王子様」で初舞台。18年に将来を期待される若手に贈られる岩谷時子賞奨励賞、19年に菊田一夫演劇賞を受賞。自ら作詞作曲も手がけ、21年には主演したドラマ「私の正しいお兄ちゃん」の主題歌「指先、手」の作詞作曲と歌唱を担当。22年秋クールに放送されたドラマ「恋と弾丸」では、馬場ふみかとW主演を務めた。(撮影/写真映像部・高橋奈緒 ヘアメイク/永瀬多壱(VANITES) スタイリスト/根岸 豪)
古川雄大(ふるかわゆうた)/ 1987年生まれ。長野県出身。2007年ミュージカル「テニスの王子様」で初舞台。18年に将来を期待される若手に贈られる岩谷時子賞奨励賞、19年に菊田一夫演劇賞を受賞。自ら作詞作曲も手がけ、21年には主演したドラマ「私の正しいお兄ちゃん」の主題歌「指先、手」の作詞作曲と歌唱を担当。22年秋クールに放送されたドラマ「恋と弾丸」では、馬場ふみかとW主演を務めた。(撮影/写真映像部・高橋奈緒 ヘアメイク/永瀬多壱(VANITES) スタイリスト/根岸 豪)

 テーマパークのダンサーという異色の経歴を持つ、令和ミュージカル界のエース・古川雄大さん。2007年ミュージカル「テニスの王子様」で初舞台に立ち、19年には目標だったグランドミュージカル「エリザベート」の主要キャストの一人である死神・トートにも選ばれた。華やかな見た目とは裏腹に、芝居や音楽に不器用であることを自認。輝きの源泉にあるのは、子どものような好奇心だ。

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 念願だったトート役を射止めたのは、ミュージカルに本格進出して8年目。井上芳雄さんとのダブルキャストだった。菊田一夫演劇賞も受賞し、ミュージカル界のエースとしてのお墨付きをもらっていた時期。自分でも気づかなかったミュージカルへの意欲や適性を引き出してくれたのは、同作の演出家である小池修一郎さんだという。

「小池先生には、今も、ものすごく愛情を注いでいただいています。誰に対しても愛情がある方ですが、歌も芝居もすぐできちゃうような達者で器用な人よりも、不器用なりにコツコツ頑張っている人にスポットを当てちゃうところがすごいんです(笑)。とくに僕のような不器用人間は、そこに救われた気がします」

 古川さんが師と仰ぐ小池さんは、映像作品に出演すると、感想を送ってくれるらしい。

「(古川さんが主演したテレビドラマの)『恋と弾丸』も、放送が終わった瞬間に『今見たよ』って連絡をいただいたりします。『今回は○○だったね。来週も楽しみにしてる』って簡単な感想が書いてあるんですが、それが本当にちゃんと見た人じゃないと書けないような言葉で……。僕に対してだけじゃなくて、他の方にもされていて、あれだけたくさんの作品を演出しながら、いろんなドラマを見ていることを考えると、いつ寝ているのか心配になるぐらい。本当にありがたいです」

■苦しいけれどやめられない

 最近は、連続ドラマや映画への出演も増えている。舞台も、昨年は「スペクタクルリーディングバイオーム」で、中村勘九郎さんとも共演した。

「舞台は、1カ月ぐらい同じメンバーで稽古しますから、作品に対する解釈に刺激を受けることができます。いくつになっても怒られたくて(笑)。本番やって、問題点を洗い出して、また本番して改善して、っていうことを繰り返せる舞台の期間はいつも濃密なので、終わったときの達成感はすごいです。映像の場合は、現場に行って、どれだけ蓄えた力を発揮できるかが試される場所。舞台も映像も、両立できたら嬉しいです」

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