古川雄大(ふるかわゆうた)/ 1987年生まれ。長野県出身。2007年ミュージカル「テニスの王子様」で初舞台。18年に将来を期待される若手に贈られる岩谷時子賞奨励賞、19年に菊田一夫演劇賞を受賞。自ら作詞作曲も手がけ、21年には主演したドラマ「私の正しいお兄ちゃん」の主題歌「指先、手」の作詞作曲と歌唱を担当。22年秋クールに放送されたドラマ「恋と弾丸」では、馬場ふみかとW主演を務めた。(撮影/写真映像部・高橋奈緒 ヘアメイク/永瀬多壱(VANITES) スタイリスト/根岸 豪)
古川雄大(ふるかわゆうた)/ 1987年生まれ。長野県出身。2007年ミュージカル「テニスの王子様」で初舞台。18年に将来を期待される若手に贈られる岩谷時子賞奨励賞、19年に菊田一夫演劇賞を受賞。自ら作詞作曲も手がけ、21年には主演したドラマ「私の正しいお兄ちゃん」の主題歌「指先、手」の作詞作曲と歌唱を担当。22年秋クールに放送されたドラマ「恋と弾丸」では、馬場ふみかとW主演を務めた。(撮影/写真映像部・高橋奈緒 ヘアメイク/永瀬多壱(VANITES) スタイリスト/根岸 豪)

 グランドミュージカル「エリザベート」といえば、日本で最も人気の高い演目の一つ。オーストリア帝国皇后エリザベートの生涯を軸に、帝国支配の終焉と新時代の萌芽を描いたこのヨーロッパ発のミュージカルは、ミュージカル俳優なら一度は演じてみたいと思うような、魅力的な役の宝庫である。現在、押しも押されもせぬミュージカル界のエースである古川雄大さんが、ミュージカルの難しさと面白さ、その両方の洗礼を受けたのもこの「エリザベート」だった。若手俳優の登竜門と呼ばれるエリザベートの息子・ルドルフ役を、オーディションで掴んだのは11年前。24歳のときだった。

【写真】ミッツも驚愕!「木村拓哉」を過去にした“神レベル”の若手俳優はこちら

「当時の僕は、映像や舞台をいろいろやらせていただく中で、まだ自分がどういう俳優になっていくのか、将来のイメージが掴めないでいました。そんな中、たまたま仕事の一環として、『エリザベート』のオーディションを受けたら、受かってしまった(苦笑)。稽古のときも実力がまったく伴わなくて、ものすごく苦戦しました。でも、稽古を通して深く作品を知り、ルドルフという役を掘り下げていくうちに、僕自身が、役に魅了されていったんです」

 本番を重ねるにつれ、感情の高ぶりや悲しみを歌に乗せて表現できるミュージカルというのは、なんて素晴らしいんだろう、と思うようになった。もっとこの表現を突き詰めていきたい。いつかは、主要キャストの一人である死神・トートを演じられるようになりたい──。俳優になって初めて、自分の未来に明確な目標を見据えた。

 高校卒業後、長野から単身上京して1年間、テーマパークのダンサーを務めたこともある。肉体を使って自分自身を表現することに興味はあったが、「目立ちたい」とか「人気者になりたい」という気持ちは、そんなに強いほうではなかった。ミュージカルの舞台で、人前で堂々と自分の歌唱を披露することに、最初は照れがあった。

次のページ