CIAOちゅ~るにしゃぶりつく猫
CIAOちゅ~るにしゃぶりつく猫

 昨年のの経済効果は2兆円とも言われる。2010年代半ばから続く猫ブーム。その黎明期に登場し、今も売れ続けている定番商品の愛される理由は何か。「10年選手」となるブランドの「誕生秘話」と「次の一手」を探る。

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 ♪ちゅ~るちゅ~る、ちゃおちゅ~る……CMのメロディを聴いた猫がたちまち興奮すると言われる「CIAOちゅ~る」が2022年、発売10周年を迎えた。販売元の「いなばペットフード」(静岡市)がそれを記念し、3分間ものCM動画を公開したり、都心の地下鉄で猫の写真満載の特別車両を運行したりし、際立った存在感を示した。

 CIAOちゅ~るは国内初の液体状の猫用おやつ。稲葉敦央社長が自身の飼い猫にえさを与える際、「手を汚さず、じかに食べさせられるものを作れないか」と思い立ったのが商品化につながったという。「真似しない、真似されない」が同社の開発のモットー。2012年に発売後、15年のCM開始でブームを巻き起こし、社の中核商品に成長させた。

 猫用では現在、通常タイプのほかに、「高齢猫用」「子猫用」「総合栄養食」「腎臓の健康維持」など多様な商品があり、計200アイテムにのぼる。フレーバーもざっと100種に及び、人気は(1)まぐろ(2)かつお(3)とりささみ――の順。同社マーケティング部の担当者は「順位には猫の好みだけでなく、飼い主の趣味も影響していると思われます」と苦笑する。

 猫の食いつきのよさには定評がある。人気の理由について、「食品会社(いなば食品)のグループ企業ならではの素材・品質のよさだと考えている。体調が悪くても、ちゅ~るだけは食べるという猫もいる」(同部)と説明する。

 毎年、春と秋に新商品を投入する。今秋もちゅ~るだけで20を超すアイテムを発売した。目玉は、猫の腎臓の健康維持に配慮した「for AIM」シリーズ。AIMは、猫の腎不全の予防・治療に効果が期待されるとして、いま大いに注目されているタンパク質だ。同シリーズにはAIMを活性化させるアミノ酸などが含まれているという。

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