岩合光昭 (c)Iwago Photographic Office
岩合光昭 (c)Iwago Photographic Office

 動物写真家・岩合光昭さんが見つけた“いい(こ)”を紹介する「今週の猫」。今回は、山梨県北杜市の「自由猫(じゆうにゃん)」です。

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 昔、小淵沢に住んでいた。甲斐駒ケ岳を望む丘の上の家には、来る日も来る日も1匹のネコがやってきた。立派な毛並みから「毛長」と名づけ、一緒に遊んだ。

撮影/岩合光昭 (c)Mitsuaki
撮影/岩合光昭 (c)Mitsuaki Iwago

 家の中では落ち着かず、外遊びが好き。ひとしきり過ごしてごはんを食べると、どこかへ帰っていく。追いかけても、いつも途中でまかれてしまった。

 人懐っこい毛長のことだから、きっと居場所がたくさんあって、いろいろな名前でかわいがられているのだろう。ちょっぴり寂しい気持ちを胸に、自由を愛するその背中を見送った。

週刊朝日  2023年1月6-13日合併号

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岩合光昭

岩合光昭

岩合光昭(いわごう・みつあき)/1950年生まれ。動物写真家。1980年雑誌「アサヒグラフ」での連載「海からの手紙」で第5回木村伊兵衛写真賞を受賞。1982~84年アフリカ・タンザニアのセレンゲティ国立公園に滞在。このとき撮影した写真集『おきて』が全世界でベストセラーに。1986年ライオンの親子の写真が、米「ナショナルジオグラフィック」誌の表紙に。94年、スノーモンキーの写真で、日本人として唯一、2度目の表紙を飾る。2012年NHK BSプレミアムで「岩合光昭の世界ネコ歩き」のオンエア開始。著書に『日本のねこみち』『世界のねこみち』『岩合光昭写真集 猫にまた旅』『ふるさとのねこ』『ネコを撮る』『ネコへの恋文』など多数。初監督作品となる映画「ねことじいちゃん」のBlu-rayとDVDが発売中。

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