帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長
帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)医師。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「中国語とのつきあい」について。


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【言葉不要】ポイント


(1)中国語を学ぼうと決意したが、3日であきらめた


(2)何でも向いていないと思うとあっさりやめてしまう


(3)楽しい飲み手、良き飲み仲間には言葉は要らない


 初めての訪中が1980年9月。北京市がんセンターの漢方薬部門のヘッドが病棟回診するのに同行しました。そこで彼がカルテに記載した処方が目に焼き付いています。「竜葵 蛇苺 玉金 当帰 丹参 白花蛇舌草」


 私が初めて出会ったがんの漢方薬処方です。いまでも、私の対がん戦略にしばしば登場します。


 帰国後、中国医学をもっと早く身につけるために、中国語を学ぼうと決意しました。すぐに当時流行っていた語学の独習セット「リンガフォン」の中国語版を買って、学習を開始しました。


 ところが生易しくはなかったです。音痴の私には耳から入る学習が大変なのです。3日目に悟りました。「こんなことにエネルギーを費やしていてはもったいない」。リンガフォンはさっさと片付けました。


 私は自分が向いていないと思うと、あっさりやめてしまいます。若い頃に家族に勧められて、自動車教習所に通ったときも、興味が湧かずにすぐにやめてしまいました。だから運転免許証は持っていません。


 競馬で40万円ほど稼いで、その勢いでパソコンを購入したときもそうでした。詳しい若い職員に手ほどきを受けたのですが、1回触っただけで、そのままになってしまいました。そのパソコンは愛「メグ」が昼寝の枕がわりにしていました。ちなみにメグという名は、私が好きだった推理小説の登場人物「メグレ警視」からきています。メグレでは呼びにくいのでメグにしたのです。

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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