「僕の巡査」Prime Videoで独占配信中(c)Amazon Studios
「僕の巡査」Prime Videoで独占配信中(c)Amazon Studios

 映画「僕の巡査」は、1950年代の英国で当時タブーとされた同性同士の愛を描いた話題作。主演のハリー・スタイルズはじめ、日本でも人気だったルパート・エヴェレットら出演陣も注目される。マイケル・グランデージ監督に話を聞いた。

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 原作はベサン・ロバーツの同名ベストセラー小説。主演は英国のボーイズ・グループ「ワン・ダイレクション」のメンバーとして世界的な人気を獲得、近年は俳優業でも活躍めざましいハリー・スタイルズだ。

 1950年代、イングランド南部にある町ブライトンで警察官を務めるトム(スタイルズ)は教師のマリオン(「ザ・クラウン」のダイアナ役、エマ・コリン)との交際も順調で順風満帆な生活を送っていたが、町に美術館学芸員のパトリック(デヴィッド・ドーソン)が引っ越してきたことで始まり40年にわたる三角関係が描かれる。

 映画は40年後の90年代、脳梗塞を患ったパトリックをマリオンが自宅に引き取り介護するところから幕が開く。マリオンと夫となったトムらの現在と、50年代の3人の記憶を行き来しながら物語は紡がれる。40年後のマリオンをジーナ・マッキーが、病むパトリックを映画「アナザー・カントリー」のヒットで美形俳優として日本でも大人気となったルパート・エヴェレットが演じている。

──初めて脚本を読んだ時の感想を教えてください。あなたの心をとらえた最大の点は?

「自分自身があの時代に生まれたところだ。法律的に、同性愛者がカップルとして禁じられていた当時に僕らは生まれ、人生を歩んでいく中で法律が変わり、状況も少しずつ改善された。あのころと今は、とても異なる社会になった。この“進化”を非常に誇りに思っていると同時に、まだ現状はもろいものだとも感じている。世界、特に英国や米国についていえば、一つ間違えば、時代を逆戻りするような状況になるとも思う。だからこそ、1957年当時を振り返ることは重要だと思った。この映画がそういう議論のきっかけになればうれしい」

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