(左から)LAM Sum(ラム・サム)/ 1985年7月生まれ。代表作に「暉仔」(2011年)、ドラマ「豹」(15年)、「黑哥」(17年)など/Rex REN(レックス・レン)/ 1982年9月生まれ。フルーツ・チャン監督に師事。2017年の短編映画「螻蟻」や18年の「紙皮婆婆」で高い評価を受ける
(左から)LAM Sum(ラム・サム)/ 1985年7月生まれ。代表作に「暉仔」(2011年)、ドラマ「豹」(15年)、「黑哥」(17年)など/Rex REN(レックス・レン)/ 1982年9月生まれ。フルーツ・チャン監督に師事。2017年の短編映画「螻蟻」や18年の「紙皮婆婆」で高い評価を受ける

 2019年の香港民主化デモを描いたドキュメンタリー映画が次々に国際的な評価を受ける中、デモに参加した若者たちの姿を追った注目のフィクション映画「少年たちの時代革命」の公開が始まった。本作の共同監督で長編映画デビューを果たしたレックス・レンとラム・サムに話を聞いた。

【写真】映画「少年たちの時代革命」の場面カットがこちら

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――香港民主化デモに参加しても変わらない香港に失望し、自殺志願者となった少女。そんな彼女を救おうと、香港中を奔走する民間捜索隊の若者たちの姿を描いた香港映画が「少年たちの時代革命」だ。メガホンを取ったのは、同じ映画学校で学んだレックス・レン監督(40)とラム・サム監督(37)。「香港民主化デモの最中に映画を完成させてデモ参加者を励まそう」(レン監督)と、本作の撮影を開始した。

 テーマに据えたのは、香港民主化デモの際に若者の自殺が相次いだことで、彼らを救うために結成された民間捜索隊。レン監督は、「フィクションという分野で僕たちが社会運動を撮れるかどうかというチャレンジでもあった」と振り返る。

レン:(これまで作られてきた)香港民主化デモに関係する映画は、純粋に起こったデモの話や有名人がテーマになっているのですが、そういった大きな出来事の裏にも違う現実があることを伝えたかった。民間捜索隊をテーマにしたのは、僕たちが「テレグラム」というグループで自殺者の捜索隊に入っていて、実際に自殺志願者を捜索したことがあったことが一つの理由になっています。

 実際、捜索隊がやっていることは正義を表していますし、香港の文化や質のレベルの高さを表していると思う。僕は映画の制作者としてそうしたことを記録すべきだと思いましたし、それが自分の責任だと思ったことが撮影のきっかけになりました。

――中心となるキャラクターは10代~20代前半の設定だ。出演者はほとんど演技経験のない新人ばかり。デモ現場でスカウトされた出演者もいた。

レン:キャスティングする前に、ある程度、登場人物の設定は終わっていました。そこで実際のデモ現場で登場人物と似たような人に「キャスティングに来てみませんか」と声かけをしました。本作は民間捜索隊がテーマなので、誰かという個人がキーマンではなく、団体が主役。全ての人物がつながって、全員が外せない重要なキャラクターとなっています。ただ、キャスティングで一番重要だったのは、公開した後に出てくるかもしれないリスクを背負えるかどうかでした。

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