「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」TOHOシネマズ シャンテほか全国公開中(c)2021 STUDIOCANAL SAS-CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION
「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」TOHOシネマズ シャンテほか全国公開中(c)2021 STUDIOCANAL SAS-CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION

 かの夏目漱石にもインスピレーションを与えたという“ネコ画家”ルイス・ウェイン。その人生を描いた映画「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」が全国で公開中だ。監督のウィル・シャープさん(36)は日本にルーツを持ち、俳優としても活躍している。ネットでは“松ケン(松山ケンイチさん)”似のルックスも話題だ。映画のなりたち、への愛、そして自身についても語ってもらった。

【写真】“松山ケンイチさん”似で話題のウィル・シャープ監督はこちら

*  *  *

──「年に1度の“猫号”で記事にします」と伝えると「それは嬉しいです」と顔をほころばせたシャープ監督。自身も猫好きで2匹の猫を飼っている。

 ルイスの猫の絵はもちろん見たことがありました。でも実は本作の企画に着手するまで、彼の名前を知らなかったんです。彼の人生とその生き方を知り、ぜひ映画にしたいと思いました。

──ルイスは19世紀末から20世紀にかけてイギリスで活躍し、世界中にファンを持つ画家だ。その人物像はかなり風変わりでもある。ロンドンの上流階級に生まれ、発明家や音楽家を目指すものの、長男として一家を養うために新聞社の専属イラストレーターになる。身分の違う女性エミリーと恋に落ち、周囲の反対をものともせず結婚。さらに当時、不吉な存在とされていた猫をモデルに絵を描き、その立場を向上させたのだ。

 彼はあるがままの自分でいることを、恐れずにできる人だったのだと思います。とても個性的でイノセントな心の持ち主でもありましたが、当時の社会では誤解されることも多く、間違いなく自分をアウトサイダーだと感じていたでしょう。だからほかのアウトサイダーにも優しく、彼らを守ろうとした。そんな彼に僕は惹かれたんです。

 ルイスの人生には悲劇的な側面もあります。それらを知ったうえで絵を見ると、カラフルで軽妙なのと同時に、どこか不安や切なさを感じます。彼は心の病を持っていました。そして僕も軽度の双極II型障害を持っています。僕自身も自分をアウトサイダーだと感じている。ゆえに彼の生き方にすごくインスピレーションを受けるのです。

次のページ