光輝に満ちた世界的テノール2人の饗宴(きょうえん)が催される。「パヴァロッティに捧げる奇跡のコンサート プラシド・ドミンゴ&ホセ・カレーラス」。「三大テノール」としても名を轟(とどろ)かせたドミンゴとカレーラスが東京で再会するのだ。
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ドミンゴは81歳、カレーラスは76歳。2人はそれぞれオペラの数々の名舞台を見せ、聴かせてきた。一方、2007年に亡くなったルチアーノ・パヴァロッティを加え、「三大テノール」として世界中の感動を誘い、オペラファンのすそ野を広げる役割も果たしてきた。
今回の曲目は明かされていないが、定番の「オー・ソレ・ミオ」や「誰も寝てはならぬ」はぜひとも聴きたいところだ。
ドミンゴは語る。
「この公演のオファーは、予想外で、私にとって素晴らしい驚きでした。久しぶりにホセとステージを共にする機会と、再びルチアーノに敬意を表する機会を得ることができて大変嬉しく思います。今回のコンサートが東京であることも、とても嬉しく思います」
思い起こせば、それは1990年、ところはイタリアのローマ・カラカラ浴場。サッカー・ワールドカップ決勝の前夜祭だった。パヴァロッティ、ドミンゴ、カレーラスが登場する。息をのむ観衆たち。どこまでも圧倒的に広がっていくようなパヴァロッティの声。陰影深くいわば彫刻的なドミンゴの声。優しく甘くリリカルなカレーラスの声。三人三様のゴージャスな歌声は観客を魅了し、それまでに見たことも聴いたこともない豪華なステージとなった。こうして「三大テノール」は産声を上げたのだ。
ドミンゴはこう振り返る。
「私がルチアーノとホセと一緒に行ったすべてのコンサートは特別で忘れられないものでしたが、最初のコンサートは、これまでで最も特別なものでした。最高の思い出は、リハーサルでアリアやメドレーを一緒に奏でた時間です」。夕食を一緒に食べたことも良い思い出という。