東尾修
東尾修

 西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、来年3月に開かれるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に期待をかける。

【写真】NPBアワーズで挨拶する侍ジャパンの栗山英樹監督

 11月25日にNPBアワーズが行われ、今年のプロ野球はほぼ日程が終了した。MVPはセ・リーグがヤクルト村上宗隆、パ・リーグがオリックスの山本由伸。2年連続で同じ受賞者となるのは、史上2度目だという。来年もこの2人をメインに球界は動くことになる。

 今年もソフトバンクの千賀滉大、オリックスの吉田正尚ら、メジャー移籍を希望する選手が相次いでいる。ひと昔前まではスター選手の流出というものが騒がれたが、これだけ年俸面に格差があったら致し方ない。そして日本で圧倒的な成績を残した選手ならば、さらに上のステージで戦いたいという思いを邪魔することはできない。

 誰かが抜ければ、新たなスターが出てくればいい。そして、メジャーで活躍する日本選手が増えれば増えるほど、日本プロ野球に在籍する選手の目標値も自然と高くなる。日本球界のレベルアップへとつながる部分もあると前向きにとらえたい。

 その観点から、日本の契約更改交渉を見ていると、5年以上に及ぶ長期契約を結ぶ選手が各球団に多く存在するようになった。日本もスケール感では及ばないが、スター選手の引き留めにメジャーのように大型契約を結び、多くのお金を割くようになっている。逆に育成選手を多く確保するなど、なるべくコストパフォーマンスのいい選手を探している。つまり、中途半端な成績、中間層の選手は、どんどん居場所がなくなる。特に30歳を超えた選手は、どこかに突出した能力がないと長く野球ができない。契約更改交渉の流れ一つ見るだけで、時代の移り変わりを感じている。

 3月にはWBCが行われる。2017年以来だから6年ぶりだ。今回はメジャーのスター選手たちも参戦の意向を示している。3月だからトップコンディションとはいかないだろうが、メジャーと日本の立ち位置を確認する機会となろう。

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東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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