安部若菜さん(撮影・小黒冴夏)
安部若菜さん(撮影・小黒冴夏)

 アイドルとオタクの恋愛───。

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 ある意味「禁断の恋愛」を描く小説『アイドル失格』(KADOKAWA)を書きあげたのは、現役アイドル。本作が初小説となる、NMB48の人気メンバー、安部若菜さんだ。

 小説に登場するのは、<マイナーな地下アイドルという訳ではない。大手事務所所属のグループで、有名なプロデューサーやアーティストともコラボしている。今注目のアイドルグループ>「テトラ」。主人公はそのメンバーの一人、実々花だ。

 もう一人の主人公が、テトラのファンとして熱心にライブやイベントに通い、CDを購入し、ツーショットチェキを撮影してくれるケイタ。

 実々花はそんなケイタのツイッターを“実々花”でエゴサーチするなどしながらチェックするうちに、彼がどんなものが好きでどんなものを食べているのかを知り、次第に気になる存在となっていく。

<「ケイタに会いたい」そんな考えが暗闇の中、唯一の光のように浮かんできた。>

 あるとき、ケイタがアルバイトする下北沢のDVDショップを実々花が訪れる。アイドルに“会いに行ける”場所ではないところで、出会ってしまったふたり。少しずつ距離を縮めていくふたりの行く先は───。

「はじめはアイドルをテーマにしたものを書くのかどうか迷いました」

 と、安部さんは言う。

「でも、私が書く以上、どうしても『NMB48の安部若菜が書いた小説』という見られ方をします。それだったら、アイドルの現場を舞台にしたお話をアイドルが書いたほうが、より興味を持ってもらえるのではないかと思いましたし、それは今の自分にしか書けないものだと思いました」

 幼いころから読書好き。ミヒャエル・エンデの「はてしない物語」など、海外のファンタジー小説が好きだった。

「小説をいつか書いてみたいなという気持ちは、漠然としたものですがありました。やりたいことがあれば、なんでも挑戦させてくれるところがNMBの強みだと思うんです。そんなNMBの中で自分がやりたいこと、挑戦したいことってなんだろうと悩んだこともありましたが、小説を書くことをきっかけに見つかった気もしますし、この経験をグループにいかすことができれば本当にうれしいです」

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アイドル活動と小説執筆の共通点