沖縄県名護市の辺野古にある米海兵隊キャンプ・シュワブ「ゲート前」での座り込み日数を示す看板
沖縄県名護市の辺野古にある米海兵隊キャンプ・シュワブ「ゲート前」での座り込み日数を示す看板

 環境活動家が相次ぎ名画を襲い、世界で波紋を広げている。国内でもひろゆき氏の投稿をきっかけに、沖縄の米軍基地を巡る反対運動のありようが議論の的になった。抗議活動は現状を変えうるのか。

【写真】COP27の閉幕会合で、議長を務めたシュクリ・エジプト外相

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 明るく描かれたひまわりがベットリとオレンジ色に染められた。

 10月14日、英ロンドンのナショナル・ギャラリーで19世紀の印象派画家、フィンセント・ファン・ゴッホの代表作「ひまわり」にトマトスープがかけられる事件が起きた。実行犯は主にイギリスで活動する環境保護団体「ジャスト・ストップ・オイル」のメンバー2人だった。

 事件から9日後には、独ポツダムのバルベリーニ美術館でドイツの環境保護団体「最後の世代」のメンバー2人が印象派を代表するフランスの画家、クロード・モネの作品「積みわら」にマッシュポテトを投げつけるなど、世界的な名画を標的とした事件が相次ぎ「エコ・テロリズム」だと注目を集めた。

「人々は飢え、凍えて死につつある。私たちは気候をめぐる大惨事に直面している。もし将来、人類が食料を取り合う事態になるならこの絵画には何の価値もない」

「積みわら」の前に座り込んだ男女2人はそう訴えたという。

 一連の騒動の背景には、11月6日にエジプトで始まった国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)があった。

 昨年のCОP26では産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑える目標が合意され、石炭火力の段階的削減や化石燃料への補助金の段階的廃止も呼びかけられた。

 だが経済協力開発機構と国際エネルギー機関の分析によると、コロナ禍からの経済回復に伴うエネルギー需要で、主要国における化石燃料への補助金は削減どころか倍増した。

 さらにロシアのウクライナ侵攻によって欧州では燃料価格が高騰し、石炭や石油、天然ガスの生産への補助や、消費への補助金も増加している。

 環境問題をめぐる抗議活動に詳しい明星大学の浜野喬(たかし)士准教授は「フランスやスペインでの熱波などここ数年の異常気象や、世界中の人々の生活を一変させたコロナウイルスの流行の衝撃は、ある種の終末論を想起させ、感受性の強い若い世代を先鋭化させたのでは」と分析する。

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