来年はどのクラブに所属するのか
来年はどのクラブに所属するのか

 55歳のFWが、唯一無二の輝きを張っている。

【写真】「ケガがなければ…」日本代表の歴史を変えられた“未完の逸材”

 JFLの鈴鹿ポイントゲッターズに所属する元日本代表FWの三浦知良が今月12日、今季ホーム最終戦のFC大阪戦(三重交通Gスポーツの杜鈴鹿)でスタメン出場し、55歳8カ月17日でのゴールで、自身が持つリーグ最年長記録を更新した。

 得点への嗅覚、技術が凝縮された得点だった。前半24分。左サイドのコーナーキックでニアサイドに放り込まれたボールを今井那生がヘディングでゴール前にそらすと、カズが素早く反応。ヘディングでゴールに突き刺した。スタンドから歓喜の声が上がる中、満面の笑みから軽快なステップでカズダンスを披露。前半終了時点で退き、チームは逆転負けを喫したが、鈴鹿のサポーターは思い出に残る1日になっただろう。

「カズさんの凄いところはゴールだけではない。この試合でも前線からプレッシングをかけて守備面で貢献し、パスワークでも起点になっていた。全盛期に比べれば体のキレ、スピードは落ちますが、ポジション取りは絶妙です。サッカーに向き合う姿勢も若手の良きお手本です」(サッカー雑誌の編集者)

 静岡学園を8カ月で中退したのが40年前の1982年。ブラジルに単身渡航し、86年に名門・サントスFCと自身初のプロ契約を結んでから、ピッチを走り続けている。白髪が目立つ現在も飽くなき向上心は変わらない。向けられるのは称賛の声ばかりではない。所属していた横浜FCでは年々出場機会が減り、昨年の公式戦出場は4試合のみ。「客寄せパンダ」、「ベンチに入ることで若手のチャンスを奪っている」など批判の声が高まった。

 鈴鹿への期限付き移籍を決断した今年も、試練に見舞われた。開幕戦から先発出場していたが、5月15日のホンダFC戦で右太ももを負傷して途中交代。戦列復帰に3カ月半を費やし、復帰後も途中出場が続いたがこのままでは終わらない。10月30日のティアモ枚方戦で後半40分にPKで今季初得点を挙げると、22試合ぶりにスタメン出場したホーム最終戦で鮮やかなヘディングを決めた。

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