大倉孝二(おおくら・こうじ)/ 1974年生まれ。東京都出身。劇団ナイロン100℃の看板俳優として、読売演劇大賞最優秀作品賞を受賞した「百年の秘密」など、多くの劇団公演で活躍。近年の舞台出演作に、「マシーン日記」「イモンドの勝負」「世界は笑う」などがある。2014年に脚本家・演出家のブルー&スカイと演劇ユニット「ジョンソン&ジャクソン」を旗揚げ。宣伝ビジュアルのイラストも手がける。(撮影/写真映像部・戸嶋日菜乃)
大倉孝二(おおくら・こうじ)/ 1974年生まれ。東京都出身。劇団ナイロン100℃の看板俳優として、読売演劇大賞最優秀作品賞を受賞した「百年の秘密」など、多くの劇団公演で活躍。近年の舞台出演作に、「マシーン日記」「イモンドの勝負」「世界は笑う」などがある。2014年に脚本家・演出家のブルー&スカイと演劇ユニット「ジョンソン&ジャクソン」を旗揚げ。宣伝ビジュアルのイラストも手がける。(撮影/写真映像部・戸嶋日菜乃)

 くだらないこと。バカバカしいこと。何の役にも立たないこと──。今から四半世紀ほど前のこと、俳優の大倉孝二さんがケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)さん率いる劇団「ナイロン100度(ひゃくどしー)」で演劇に取り組み始めた頃、そこで上演される作品は、ナンセンスなコメディーばかりだった。

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 2000年代には「ナイロン~」の作風が、“ナンセンス・コメディー”のみならず、悲劇的な主題をコメディーに仕立てるような“シリアス・コメディー”へと広がりを見せ、時を同じくして、劇団所属の俳優たちは映像でも活躍するようになった。看板俳優の一人だった大倉さんの映像の出世作が映画「ピンポン」(02年)のアクマ役。以来、バイプレーヤーとして多くの映像作品でユニークな役どころを演じている。最近では、大河ドラマ「青天を衝け」の大隈重信役や、夏クールの月9ドラマ「競争の番人」の公正取引委員会でのキャップ役を記憶している人も多いだろう。

 そんな大倉さんが、演劇ユニット「ジョンソン&ジャクソン」を旗揚げしたのは、14年のこと。

「僕がお芝居を始めたきっかけが、KERAさんのナンセンス・コメディーで、偶然の出会いではあったけれど、その作風はすごく好きでした。いろんな作品に出て、いろんな役の設定をいただいたのですが、時代とともにくだらないお芝居をする回数が減っていってしまって。自分でそういう演劇を作ろうと思ったことから、この演劇ユニットを旗揚げしました」

 そのとき相棒として選んだのが、古くから付き合いのある劇作家で演出家のブルー&スカイさんだった。自分がやりたい演劇のイメージを伝え、脚本を書いてもらおうともくろんでいたが、「一人で作るのではなく一緒に」と言われてしまい、渋々ではあるが共同制作を始めることに。

「続けざまにシリアスな役を演じていると、自分の中で、なんとも言えない違和感が蓄積していった。それで、自分が本来やりたかったこと、好きなことをやることで、バランスが取れるかなと思ったんです。なのに、いざ始めてみたら、作る作業が大変すぎてバランスを崩しそうになった(笑)。そもそもブルー&スカイは、昔は劇団を主宰したりもしていたのが、解散してからは自分で公演を打つ回数も減ってしまっていた。彼の面白さをもっといろんな人に見てもらいたいと思って誘ったんです。それなのに……」

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