※写真はイメージです
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 日本を代表する企業年金、「企業型確定拠出年金(企業型DC)」の加入者が10月から原則、「個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)」に加入できることになった。「誰でもiDeCo」がようやく現実になった格好。賢い利用法はあるのか。50代以上が「確定拠出年金」と付き合う場合のポイントを見てみよう。

【図表】iDeCo「加入年齢」何歳までなら入っていい?

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 企業型DCは毎月の掛け金は会社が出してくれるが、投資信託などの金融商品を選ぶのは従業員で運用結果も従業員が負う制度だ。運用しだいで受け取れる年金額が変わってくるシビアな面もあるが、企業側の負担が少ないためジワジワと勢力を広げ、今や加入者780万人を誇る。

 一方のiDeCoは「じぶん年金」の代表選手として急速に頭角を現している。自分で掛け金を拠出して資産形成をめざす。手厚い税優遇で知られ、国が近年、加入対象者を拡大してきたため注目度が高い。

 ご覧のとおり、両方とも「確定拠出年金」。投資の王道とされる「長期・分散・積み立て」投資に向いているとされ、どちらも人生100年時代の老後資金に大きな役割を果たすとみられている。そんな二つが同時に利用できるようになった。これまでは企業型DCの加入者は規約を変えないとiDeCoに入れなかったが、その規制が10月からなくなったのだ。

 企業年金に詳しいファイナンシャルプランナー(FP)の井戸美枝さんが言う。

「企業型DC加入者の全員にiDeCo加入のチャンスが与えられたことは大きい」

 井戸さんは個々人に選択肢が増えたことを高く評価するが、ただし誰もが飛びついてiDeCoに加入していいかというと、そうではないようだ。まさに、損得を見極めて加入の是非を判断しなければならない。

 選択肢の拡大はiDeCo加入にとどまらない。高齢化を受けてどんどん制度が後ろにずらされている。それだけに50代以上の中高年社員の悩みは深いはずだ。いったい、iDeCoに加入してもいいのか悪いのか。そこで、さまざまなケースを想定し、50代以上の社員の「確定拠出年金」の利用法を考えてみよう。

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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