ハニベ巌窟院の「ハニベ大仏」(半田カメラさん撮影)
ハニベ巌窟院の「ハニベ大仏」(半田カメラさん撮影)

 政府の観光支援策「全国旅行支援」が始まった。さあ、久しぶりに外出を!と考える人も多いはず。そんなとき、選択肢の一つに「大仏」はどうでしょう。全国には奈良や鎌倉、牛久以外にもたくさんある。心洗われる「ご当地大仏」を紹介しよう。

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「大仏様」と言えば、奈良や鎌倉の大仏を思い浮かべる人は多いだろう。学校の教科書にも載っているし、修学旅行で訪れたことがある人も少なくないはずだ。全高120メートルと、日本一の高さを誇る茨城県牛久市の「牛久大仏」(牛久阿弥陀大仏)も、テレビなどで取り上げられることが多く、知名度が高い。

 だが全国的にはあまり知られていなくても、それぞれの地域で親しまれ、長い歴史や由緒を持つものもある。

 仏像をはじめ国内外の仏教美術に詳しい駒澤大学の村松哲文教授は言う。

「大仏を作る思想自体は、もともと中国から入ってきたものです。主に信仰の礎(いしずえ)として、その国や地域、暮らす人たちを守ることを目的として建てられることが多い」

 ただし、目的や意味合いは、時代や社会的な背景によって少しずつ異なるという。大きな仏像は作るのにも多額の金や労力がかかり、誰もが建てられるものではない。そのため、古くは当時の為政者が自らの権威を高め、権力基盤を固める狙いも込めた。一方、最近は宗教法人や個人、企業などが建てる例が目立つ。地域の振興や観光資源としての位置づけも濃くなっている。

 そもそも大仏とは何か。村松教授によると、はっきりとした定義はないそうだが、一般的には、立った姿勢(立像)でお釈迦様の身長である一丈六尺(約4.85メートル)、座った姿(座像)でその半分の約2.4メートルを超えた仏像を、そう呼ぶことが多いという。

「大仏写真家」として全国各地の大仏の姿を撮り続け、『夢みる巨大仏 東日本の大仏たち』(書肆侃侃房[しょしかんかんぼう])などの著書がある半田カメラさんは、大仏に魅せられた一人だ。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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