テレワークの普及で電力需要が増えやすくなっている
テレワークの普及で電力需要が増えやすくなっている

 今年の冬の電力供給は、安定供給に必要な予備率3%をかろうじて上回る見通しという。経済産業省が9月半ばに示した見通しを受けて、松野博一官房長官は会見で「節電要請の必要性については適切に対応していきたい」などと話した。専門家は、電力の需要に供給が追いつかなくなるリスクがあるとみている。そんな不測の事態が起きても、温かく過ごすには、どんな備えが必要なのだろうか。

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 電力事情に詳しい小笠原潤一・日本エネルギー経済研究所研究理事によると、「予備率3%超え」は、追加の供給力を公募して積み上げた結果という。積み上がった分の供給設備は「老朽化した火力発電所であったり、満足な修繕維持ができていないものだったり、故障のリスクがある」と小笠原さんはみる。

 気象庁は9月20日に今年の冬の天候について発表し、平年並みか、寒くなる見通しとした。小笠原さんは「テレワークの普及で過去に比べて電力需要が増えやすくなっている」と指摘する。少し寒くなるだけで、想定以上にエアコンの稼働が高まる可能性がある。

 エアコンによる電力需要が高まるのは、暑い夏と寒い冬。小笠原さんは「夏場は太陽光発電が頑張ってくれ、電力供給の下支えをしてくれる」と話す。一方、冬場の寒い時は雪が降っている場所が多いため、太陽光発電に頼ることができなくなるという。

 また、夜間などの電力需要が少ないときに、下のダムから上のダムへ水を汲み上げ、電力需給がひっ迫すれば、上のダムから水を放水して発電する揚水発電がある。夏場は昼間の暑い、限られた時間帯に揚水発電を稼働させることがある。一方、冬場の寒いときは、「揚水発電を朝から夕方まで稼働させる必要に迫られ、電力供給が足らなくなるリスクがある」と小笠原さんは指摘する。

 さらに、小笠原さんは「気がかりなのは最近、地震がかなりあること」と指摘する。地震で火力発電所の設備が故障して止まり、過去には電力需給がひっ迫したこともあると話す。

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