みつはしちかこさん(右)と林真理子さん(左)(撮影/写真映像部・高野楓菜)
みつはしちかこさん(右)と林真理子さん(左)(撮影/写真映像部・高野楓菜)

「小さな恋のものがたり」の作者、みつはしちかこさん。今年、なんと誕生60周年だそうです。“小恋世代”ど真ん中の作家・林真理子さんとの対談では、次の作品のアイデアや創作意欲についてなど話題は尽きませんでした。

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林 私は「ハーイあっこです」も大好きで、あれもまたどこかで描いていただきたいなと思いますよ。大変かもしれませんけど。

みつはし 妹は、「大変そうだから、もうやめたら?」って言うんですけど、私はずっと漫画を描きたいなと思っていて、今度は私と同じような年ごろのおもしろいおばあちゃんを描いてみたいなと考えてるんです。チッチが一番なんですけど、日ごろのおばあちゃんの活躍を描くのもおもしろいなと思って。

林 それはいいですね。素敵なおばあちゃんなんでしょうね。

みつはし 全然ステキじゃなくて、でもおもしろくて、かわいいコロリとちゃっかりしたおばあさんを描いてみたいな、と思って。チッチと同じくらいの背で。

林 楽しみです。4コマ漫画って、ストーリー漫画とは別のセンスが必要じゃないですか。やっぱり大人のセンスだと思いますよ。

みつはし 『サザエさん』は4コマですもんね。でも、このごろみんな4コマ漫画を描きませんね。みんなアクションのほうに行っちゃって、絵はすごくうまいなと思うんですけど、ストーリーが過激すぎるというか……。血だらけ、戦ってばかりの漫画でコワイ。私は思い出が好きなんですよ。おもしろかったとか、うれしかったという思い出を心の宝箱から取り出して、もう一度自分でときめきながら漫画を描くんです。

林 私も恋愛小説を書くときに、妄想の中に自分の思い出もちょっと入れるんです。でも、やっぱり現役で恋愛をしている若い作家には到底かなわないし、思い出だけではちょっとつらい年齢になってるんです。それでも思い出だけで描けるものですか。

みつはし 思い出って私の場合きのうのことも思い出なんです。それをこねたり引っ張ったりするのが仕事というか。

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