作家・コラムニスト、亀和田武さんが数ある雑誌の中から気になる一冊を取り上げる「マガジンの虎」。今回は「FRIDAY」。

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 国葬の問題ひとつをとっても、すべてが裏目に出ている現政権。旧統一教会と“ズブズブ”とまでいわれる閣僚や自民党幹部たちもお咎めなしじゃ仕方ないか。

 茂木幹事長の居丈高な会見を見て驚いたでしょ。「調査ではなく点検です」「アンケート調査ではありません」。国民の疑惑に答える姿勢は皆無だ。

 それと比べたら、一方の当事者である旧統一教会側の方が、内外に向け(発言の真偽はともかく)何かと発信してくるから、メディアも賑やかになる。

 信者向けのネット会議で、旧統一教会の田中富広会長がもらした発言を“独占スクープ”したのは「FRIDAY」(講談社)9月30日・10月7日合併号だ。田中会長がテンション高く喋りつづける内容が凄い。

 霊感商法は信徒たちがやっていたことが裁判で認められ、敗訴している。しかし「霊感商法そのものを法人がやったかと問われたら『やってなかった』としか言えない」。自らの詭弁は承知で、さらに私の実家は壺やら多宝塔やら「もうとにかく霊感商法商品だらけです」と笑いまでとるサービス発言だ。

「FRIDAY」の表紙には、“スクープ&セクシー満載!”とある。政治ネタと水着アイドルの2本立てで、84年創刊から出版不況を生き抜いたタフな写真週刊誌だ。先行誌「FOCUS」は、とうの昔に消えたのに。

 東京五輪にKADOKAWAと講談社が参入しようとしたら、森喜朗元首相が、講談社は絶対認めないと反対してKADOKAWA1社に決まったという(週刊文春9月15日号)。かつての黒歴史暴露を根にもってのようだ。でも五輪に関わらなかったから、KADOKAWAの会長は逮捕されたけど、講談社はセーフ。「FRIDAY」って、実はツイテる雑誌なのかも。

週刊朝日  2022年10月7日号