ゴールを狙う鈴木優磨
ゴールを狙う鈴木優磨

 カタールW杯まであと2カ月を切った。本戦に出場する日本代表のメンバーが注目される中、この男が「森保ジャパン」にサプライズ選出される可能性はあるだろうか。J1・鹿島アントラーズのFW鈴木優磨だ。

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 代表入りの賛否を巡り、これほど話題になる選手はいないだろう。実力はピカイチだ。20~21年にベルギー1部のシント・トロイデンで34試合に出場して17得点をマーク。今年から古巣の鹿島に2年半ぶりに復帰すると、28試合出場で7ゴール9アシストをマーク。得点能力だけでなくパスセンスも光り、攻撃陣の中心として牽引している。

 欧州で取材する通信員は、鈴木のプレーについてこう語る。

「プレーのクォリティーが非常に高く、得点を取るバリエーションも多彩です。オフ・ザ・ボールの動きにも長けているので、パッサーとしてはやりやすいでしょう。ストライカーとして得点を取るだけでなく、1列下がってゲームメークをして周りの選手を生かすこともできる。起用法の幅が広い選手ですね。攻撃陣の起爆剤として日本代表に呼んでほしい存在ですが、森保監督は一度もフル代表に招集していません。思い描くサッカーにハマらないのでしょう。FWはポストプレーで体を張る大迫勇也(ヴィッセル神戸)、快足が武器の伊東純也(フランス・ランス)、古橋亨梧、前田大然(共にスコットランド・セルティック)という陣容で、万能型の鈴木は置き所が難しい」 

 鈴木がプレー以外で注目を集めるのは、強烈な個性だ。ピッチ上で相手選手と激しいコンタクトプレーを繰り返し、物議を醸すことも。8月27日のJ1リーグ第27節・川崎フロンターレ戦に出場した際は、1-2のビハインドで迎えた後半36分、相手MF遠野大弥を右手で押して倒した後に鈴木の右足が遠野の顔面を直撃。決して故意ではないが、遠野はそのまま倒れ込んでピッチに緊張感が走った。後半アディショナルタイムにも、ロングフィードをヘディングしようとした遠野に背後からタックルしてファウルに。選手たちが駆け寄る中、日本代表のDF谷口彰悟が鈴木に強い口調で抗議すると、その後のプレーでヘディングではね返そうとした谷口に対し、鈴木が体当たりするような形で衝突した。SNS上では「悪質タックル」と批判の声が殺到する事態になった。

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ギラギラした個性で魅了できる選手がいない