東尾修
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 西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、大混戦となっているパ・リーグで勝ち抜くポイントを語る。

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 プロ野球のペナントレースも最後の1カ月に入った。セ・リーグはヤクルトの優勝というものが見え始めている。DeNAに最大17.5ゲームあった差が4ゲームにまで詰められて迎えた8月26日からの直接対決3連戦。ヤクルトが3連勝した時点でゲーム差は7に広がった。これでほぼ大勢は決したかな。残り1カ月、30試合切って7ゲームを詰めるというのは容易ではない。

 つまり、この3連戦はDeNAにとって、絶対に勝ち越さなければいけない戦いだった。そして「これだけやって駄目なら仕方がない」という明確な戦い方が必要だったと思う。具体的に言えば村上宗隆をどう抑えるか。そしてどう勝負を避けるのか。特に第1戦が大事だったと思うが、初戦に2本塁打を浴びてしまった。そこに具体的な意思は込められていたのかどうかだ。2戦目は5打数5安打に1本塁打、3戦目も2打数2安打で1本塁打。これだけ4番に打たれたら勝てない。

 よく、全部敬遠すればいいという考えも聞く。それも一つの手だし、すべて勝負に行くのも作戦だ。ただ、勝負に行く場合は、絶対に本塁打だけは避ける必要があった。超短期決戦であるクライマックスシリーズ(CS)のファーストステージ(3試合制)に似ているかな。「何をしちゃいけないのか」を徹底的に考えた上で、作戦は立てられていたのかどうかだ。優勝経験のあるチームとないチームの差というものがあるとすれば、優勝するチームというのは勝負所で出た結果に後悔するような中途半端な戦いはしない。

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東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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