高齢化社会のマンション問題 合意形成が100%得られる“知恵”とは?

2022/09/08 07:00

 往々にして反対意見が出やすいのは、お金の話になった時。誰もが、金銭的な負担を極力減らしたいと思うからだ。そこで二つ目のポイントとなるのが、「負担額を上げるという話は、10年単位で話すこと」。例えば「来年から積立金を上げる」というと反対意見が出やすいが、「10年先に上げる」という計画を理由とともに説明すると、理屈で考えてもらいやすいという。

 実際に、西京極大門ハイツでは、管理規約、細則を全て網羅した規約集に修繕積立金の10年ごとの上乗せ計画を記載。規約集は一部改正のつど、全員に配布するよう徹底している。

「何かしないといけない時に、そのつどお金を徴収するというやり方は、なかなか合意形成が得られない。マンションは100人いれば100通りの常識があり、白黒つけることが難しい世界。だから大勢で議論をするのではなく、覚悟のある人が中心になって考えをまとめていく流れを大切にしています」(同)

 その前提となるのが、三つ目のポイントとなる管理組織への信頼感や安心感だ。信頼感や安心感を得るには、普段の様子が見えている透明性や公開性が重要になる。住民スタッフで運営し、マンション内だけでなく近隣住民との交流の場ともなっている「日曜喫茶」や、未就学児を対象に絵本の無償貸し出しを行う「カンガルー文庫」、桜祭りや夏祭りなどの四季行事など、盛んなコミュニティー活動を行っている。「住民は、管理組織のメンバーの普段の動きを意外と見ているものです。だから“普段から一生懸命やっている、あの人が言うなら”というふうに動いていくことが大事。顔の見える関係づくりが安心感の元になります。理事長を務める私の携帯電話の番号も、住民の多くが知っていますよ」(同)

 現在、管理組織の理事は5人、監事が2人。以前は14人の理事で務めていたが、14年前に3~5人の可変定数に変えた。理事・監事は評議員会の推薦で総会提案され、その下で管理組合が運営される仕組みだ。マンションの理事は輪番制で1年ごとに交代していく例が多いが、西京極大門ハイツでは、少なくとも2~3年は務める体制を維持している。継続性を保つためにも、2008年から役員報酬を制度化した。役員としての適性を見いだして育てていく、人づくりの仕組みも考えている。

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