次に大事なのは、ポイントは「ためる」より「使う」を心がけること。インフレとはお金の価値が下がっていくことだから、もらったポイントの価値も時間とともに下がる。

「ためる過程も楽しいですが、お得度からいえば、すぐに使えるなら、そのつど使うことをお勧めします」(同)

 FPで、家計の再生や資産運用の相談を受け付けるマイエフピー(東京都新宿区)の代表、横山光昭さんも「自身の生活スタイルに合わせて無理をしないことが重要」と指摘する。

「シニア世代は現役時代よりも時間やお金は限られてきます。その意味で、クレカは一つに絞るとポイントがたまりやすい。電気やガス代といった固定費をカード払いにすれば、無理なくたまっていきます。JR東日本グループの『ビューカード』など、外出の際に利用する交通機関のカードを作るのもよいでしょう」

 よく利用するスーパーやドラッグストアのシニア向け特典を利用すると、さらにお得だ。例えばイオンの55歳以上が対象の電子マネー「G.G WAON(ジージーワオン)」は、毎月15日の「G.G感謝デー」に買い物が5%割引になるのに加え、「5」のつく日にポイントが2倍還元される「お客さまわくわくデー」の特典も受けられる。

 ドラッグストア「ウエルシア薬局」では、毎月15、16日の「シニアズデー」に買い物をして60歳以上に発行する「シニアパスポート」と「Tカード」を提示すると、Tポイントがいつもの3倍もらえる。

 FP(CFP)の柴田千青(ちはる)さんは「お得なキャンペーンや特典がもらえる日程はチェックしておき、急ぎの買い物でなければ、その日に合わせて出かけるとよいでしょう」と話す。

 キャッシュレスでの支払いは、レジで紙幣や小銭を探さずに済み、財布もかさばらないメリットも。今回登場した専門家が指摘するように、自分に合ったものから「ポイ活」を試し、少しでも家計の負担をやわらげよう。(本誌・池田正史)

週刊朝日  2022年9月9日号

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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