優しくあたたかな世界が、どこまでもよく似合う俳優・田中圭さん。公開中の映画「ハウ」では、どんな目に遭っても人を信じる保護犬・ハウと絆を育む、人生に不器用な青年・民夫を演じた。少年のような飾らない魅力で誰からも愛される田中さんは、まさに人の姿をしたハウそのもので──。

*  *  *

──ハウと息ぴったりのお芝居が印象的です。

 人対人でも、お芝居をしていることを忘れる瞬間っていうのがあって、心が通じあっている瞬間の一つだと思うんです。それは多ければ多いほど、当然いい。ワンちゃんを相手に一緒に感情を作っていくのはけっこう難しいのですが、ハウと散歩をしたり遊んだりするシーンでは、お芝居であることを忘れる瞬間が何度もありました。

──ご自身は「なぜか犬に好かれる」そうですね。

 小さいころから犬を飼っていたから、扱いに慣れているのかもしれないです。友達がワンちゃんを飼っていて、自分の娘たちは構いたいし懐いてほしいしっていうので、すごく頑張ってお世話する。でも気づくと俺のおなかの上で寝てる、みたいな。俺は別に何かをしたわけでもないから、娘たちは、えーっ!ってなりますよね(笑)。

──屈託のない笑顔が魅力の“ワンコ系男子”と評される田中さん。自分でも納得していますか?

 犬かかと言われたら犬だと思います。すごい素直だし、たぶん。基本的にすぐ人を信じるタイプで、駆け引きもしないし、警戒するってことができないです。だから僕はもうハウですね、はい。……すみません(笑)。

次のページ