周りの人と我慢比べをしない
周りの人と我慢比べをしない

 サウナブームが続いている。一人でも楽しめる個室系や見た目が美しいビジュアル系など新しいサウナが増えている。日本サウナ学会代表理事で医師の加藤容崇(やすたか)さんに、サウナの健康効果と正しい入り方を聞いた。

【図表】シニアが注意したい銭湯サウナの楽しみ方はこちら

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 サウナは血管をしなやかにして血圧を下げる効能があります。結果、心臓の負担が軽くなり、心筋梗塞の予防にもつながる。さらに、習慣的に入ると認知症のリスクが60%減少するという研究報告も。これはサウナによって睡眠の質が上がることが関係しています。

 認知症の原因は、脳の神経細胞に老廃物がたまることですが、ノンレム睡眠と呼ばれる深い睡眠の間にこの老廃物が外に流れます。

「体の表面が温かく深部が冷えている」状態が、深い眠りの条件。サウナで体の内も外も温めたあとにサッと水風呂につかると、まずは「表面が冷たく深部が温かい」状態になります。すると体は崩れたバランスを戻そうとして、1~2時間経つとサウナに入る前よりも深部体温が下がり、一気に眠くなるのです。

 だから、いつ入るのかがとても大切。就寝の2~3時間前に入って、夜ごはんを食べて、寝るのが理想です。体を目覚めさせるために朝入る場合は、深部体温を上げないよう時間を短くするのがコツ。ただ、血圧が高くなる朝は体への負荷が大きいので、シニアは避けたほうがよいでしょう。

 基本の入り方は、サウナ→水風呂→休憩のサイクルを、体調に合わせて2~3回繰り返します。

 サウナは熱いと思ったら出てOK。周りの人と我慢比べをしたり、時間を気にしたりするのは日本人だけです。ただ、特に女性は、体が温まる前に顔が火照って苦しくなる場合があります。顔まわりは足元より約15度室温が高いので、乾いたタオルで顔を覆うと楽に入れます。

 サウナビギナーや温度感覚が鈍くなるシニアは、心拍数を一つの指標にしましょう。階段を上るなど苦しくない程度の運動時の心拍数を測っておいて、それと同じになったらサウナを出てください。

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大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

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