──少し前のインタビューで、ある時点までは、宮舘涼太はこうじゃなきゃいけない、みたいな気持ちがあったとおっしゃっていました。最近はそれが変わってきた?

 デビューしていなかった自分が見ていた世界と、させていただいた後の世界って、やっぱり違うもので。僕のなかで、すべてが新しく思えたんですね。(ジャニーズ)Jr.から一歩外に出たら目新しいものがたくさんあって、キラキラして見えて、そこに飛び込んでみたくなったっていう、自分の心境の変化は大きいですね。

──躊躇はなかった?

 なかった。そんなこと言っている場合か、っていう。

──飛び込んだ感想は?

 わりと自由にやらせてもらってるなって思いますね(笑)。本当に、まわりのね、方々に支えられているなっていうのは実感しているので。自分が思ったことを口にすると、まわりの方がすっと助けてくださったりする。だからいまはもう、体当たりでしかないですけど。

──以前のほうが、少し考えてから発言されていた印象があります。

 ジャニー(喜多川)さんの教えって、自分で考えたことをそのままやってみなよ、っていう感じだったんですよ。で、僕は、何回も濾過を繰り返してから形にしていたんですけど、それでいいときと、それじゃなんか面白くないときがあって。バラエティーって本当に瞬間的なものだと思うので、考えこんじゃ駄目なんだなって。

──「全力!脱力タイムズ」(フジテレビ系)に出演された際、「すごいまじめな顔しながらボケるみたいなのが好き」とコメントされていましたが、そこを目指して?

 いやいやいや、あれはもう、完全に素なので(笑)。素の状態で出ちゃってる、っていうだけなんですよ。自分はたぶん、本当だったら、面白くないほうの人間だと思ってるんです。なのに、面白いって言ってくださる方がたくさんいるっていうのを聞くと、なんで?って(笑)。

 自分の思い描いていることをやって面白いって評価されるパターンと、ボソッと出た言葉を面白いって言ってくださるパターン、圧倒的に後者のほうが多くて。だから考えるのをやめたっていうのもあるんですよ。

──パフォーマンスで見せる格好良さと、レギュラー番組「ラヴィット!」(TBS系)やバラエティーとのギャップも魅力だと思いますが、スイッチの切り替えなどは?

 現場が違うってだけですかね。一人しかいないので(笑)。もともと歌って踊ってっていう人間になりたかったので、やっぱり本業は本業で。バラエティーも僕を知ってくださるツールの一つっていう気持ちでやらせていただいているので、切り替えはしてないですね。

(取材・構成=伏見美雪[編集部])

週刊朝日  2022年8月19日号・26日合併号より抜粋