ものすごいフン害だ(埼玉県越谷市の香取神社前)
ものすごいフン害だ(埼玉県越谷市の香取神社前)

 カラスによる被害といえば、東京が「中心地」のイメージがあったが、最近はどうやらそうでもないようだ。埼玉県越谷市では、困り果てた市民の生活を守るため、行政が対策に本腰を入れ出した。ICT技術を利用してカラスを撃退する取り組みだ。現地を訪ねてみると……。

【無残】カラスに食い荒らされた!

 猛暑の7月某日、東武線新越谷駅。ここは5月から6月にかけて、繁殖期で攻撃的になったカラスが集まり、JR武蔵野線南越谷駅との乗り換えルートで多くの通勤客がカラスの襲撃を受けた場所だという。

 乗り換え通路の天井の梁(はり)で、数羽のカラスが暑さをしのいでいる。周囲のビルのバルコニー部分や屋上近くでも、羽を休めているカラスの姿がちらほら。通路には何カ所か、カラスの糞(ふん)が集中して落ちている部分がある。

「先月くらいまではここに来るのが怖かった。時間帯によってたくさんのカラスがいて、私の目の前を歩いていた女性の頭の上に止まって、くちばしで何度もつつかれていた。カラスの下を通ると糞を落とされるので、帽子が必須アイテムでした」(駅ビルに買い物に来ていた主婦)

「夕方になるとこの辺に集まってきて、群れになってねぐらに帰る。空が真っ黒になるくらいの大群でした。ゴミ集積所の近くは大変で、ネットをかけていても、ヤツらは頭がいいから平気で食べ物をあさっていく。自治会でも大問題になっていた」(駅前飲食店従業員)

 駅周辺の店では、店頭に展示した商品をカラスに持ち逃げされたり、ドア付近に置いてあった食材を食べられたりしてしまったところも。その後、ネットを張るなどの対策を施し、被害を防いでいる状況だという。

 駅周辺の商業ビル内にカラスが侵入する騒ぎもあったという。

「駅ビルの自動ドアをすり抜けてビル内に入ってしまうカラスがいた。追い出すのにひと騒動あったと聞いてます。でも初夏の繁殖期を過ぎて、猛暑が続いた7月くらいから数が少なくなったかも」(飲食店店主)

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真っ白になるほどの糞が……