江口のりこ(えぐち・のりこ)/ 1980年生まれ。兵庫県出身。2002年映画デビュー。タナダユキ監督「月とチェリー」で映画初主演。21年、中田秀夫監督「事故物件 恐い間取り」で日本アカデミー賞優秀助演女優賞。長塚圭史演出の出演作に、「浮標」(11年)、「冒した者」(13年)、「王将」三部作(17、21年)など。公開待機作に中田秀夫監督「〝それ〟がいる森」、荻上直子監督「川っぺりムコリッタ」がある。(撮影/写真映像部・戸嶋日菜乃)
江口のりこ(えぐち・のりこ)/ 1980年生まれ。兵庫県出身。2002年映画デビュー。タナダユキ監督「月とチェリー」で映画初主演。21年、中田秀夫監督「事故物件 恐い間取り」で日本アカデミー賞優秀助演女優賞。長塚圭史演出の出演作に、「浮標」(11年)、「冒した者」(13年)、「王将」三部作(17、21年)など。公開待機作に中田秀夫監督「〝それ〟がいる森」、荻上直子監督「川っぺりムコリッタ」がある。(撮影/写真映像部・戸嶋日菜乃)

 ドラマやバラエティー番組へ出演する一方で、同時に複数もの舞台に出演している江口のりこさん。俳優として活躍する一方で、プライベートでは意外な素顔も。

【写真】シックな衣装をまとう江口のりこさん

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 プライベートの過ごし方を聞くと、家では、Wi-Fiもなく、パソコンも持たない生活を送り、そのことに別段不自由も感じていないらしい。

「今は、配信で家でも映画が観られて便利だなんて聞きますけど、私は、映画は映画館で観たいほうだから。Wi-Fiを入れてまで、配信の何かを観たいわけじゃないし、そもそも手続きとか面倒くさそうな感じだし……。今まで、ネット環境を整えたいと思ったことがないですね。事務所からも、データでアンケートとかが送られてくるんですけど、どう開くのかすらわからなかったりする。すごく苦手です、パソコン関係」

 確かに、余計な情報をシャットアウトすることが、江口さんの心の健康につながっているようにも感じられる。

「エゴサーチなんてするから、悩みの種が増えるわけでしょ。ネットなんか見なきゃいいのにね。もしかしたら、自分にとって気分が良くなるようなことも書いてあるかもしれないけど、私は、自分がどう思われているかが不安なら、今現場にいる人たちに聞けばいいじゃないかと思う。もっと周りを信じればいいんじゃないの、と。不安になる気持ちはわかりますけどね。それに、自分がちゃんとできているかそうでないかは、自分自身でもなんとなくわかるし、一緒にいる人たちの空気だったり、態度だったりっていうので伝わるから」

 そう言ってから、「ああ、私が舞台を好きな理由には、それもあります」と、舞台だからこそ伝わる空気感について話を続けた。

「テレビやネットは家にいたら観られるけど、舞台となると劇場まで足を運ぶ必要がある。わざわざ来てくれるからこそ、おもしろくてもおもしろくなくても、ちゃんとリアクションしてくれる感じが伝わる。そんなに感想までは聞こえてこないですけど、どう感じているかは、肌でわかる気がして、やっぱり人前で何かやることっていいなぁと思うんです」

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