昔から演技がいいとされたが……
昔から演技がいいとされたが……

 春先になると日本のあちこちに飛来するツバメ。ツバメは害虫を食べてくれるので、益鳥として大事にされてきた。さらに人の出入りが多い店舗や民家の軒先、玄関などにツバメが巣を作ることは、昔から縁起がいいとされた。

 だが、巣を作られた家には厄介なことも起こる。運ばれてきた土が落下したり、巣の中のヒナや糞などが落ちてきたりする可能性があるからだ。邪魔だからといって取ってしまってもいいのだろうか。実はそこには大きな壁がある。

「その巣に親鳥やヒナ、卵などがある場合と、いない場合で異なります。前者の場合に巣を撤去すると、いわゆる鳥獣保護法(鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)に違反することになります。ツバメに限らずカラスやスズメでもそうです。違反した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金というかなり重い罪になります」と話すのは平松法律事務所の弁護士・平松まゆきさんである。

 ただ、ヒナが巣立ち、卵もない場合は、撤去しても問題はないと平松さんは言う。

 とはいえ、巣があることで洗濯物が汚れたり、鳴き声がうるさかったりするなど、生活に支障が出ることもある。それでも撤去はできないのだろうか。

「何らかの害などがある場合は、市役所や町役場など、行政に相談して、撤去するにはそこで許可をもらう必要があります」(平松さん)

 そのままにした巣から、ヒナが落ちてきた場合はどうすべきか。

「たとえ自分から落ちてきたとしても、『捕獲』という項目に該当すると考えられ、手を出すことは法律違反となります」(同)となかなかな厳しい。

 鳥獣保護法は、生態系を保護することを重視したもので、動物個体を保護したり、治療したりするというより、自然に任せることに主眼を置いた法律だ。よって可愛そうだから保護したり、治療したりして飼うということは法律に反することになる。

「だた、一時的に保護治療して、その後自然に返すというのは大丈夫です」(同)

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