経産省の冊子
経産省の冊子

 うだるような暑さでも、冷房を使うのに気が引ける。電気代の値上がりが止まらないからだ。さらに電力需給のひっ迫で、国からは節電を要請され、資源高で電力会社も厳しい。こんな時こそ知恵を絞りたい。

【図表】電気代節約!各社のお得な節電プログラムを比較してみよう(全2枚)

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 東京電力や中部電力は7月28日、9月分の電気料金の値上げを発表した。東電の場合、標準的な家庭のケースで8月から8円上がって9126円。値上がりは13カ月連続で、昨年9月(7098円)から28.6%増にもなる。

 火力発電所の燃料に使う原油や、天然ガスの調達価格の高騰が理由だ。コロナの感染拡大による需要減で原産国が生産量を絞っていたところ、経済再開で需給はひっ迫。ロシアのウクライナ侵攻や円安の進行で、調達価格がさらに上がった。

 値上がりを和らげる選択肢の一つに2016年の電力自由化以降、電気の販売に乗り出した「新電力」への切り替えがある。資源エネルギー庁(エネ庁)に登録した業者は700社超。

 ただし、資源高で苦しいのは新電力も同じ。東京商工リサーチによると、昨年倒産した新電力は14社あり、今年に入ってからもすでに5社が倒産した。同社情報部の増田和史さんは「状況は依然厳しい」と言う。

「新電力には自前の発電所を持たず、利用者に売る電気を卸電力市場から仕入れるところが多い。しかし市場価格は高どまりし、売れば売るほど赤字になる『逆ザヤ』が続いています。直近の決算が把握できた181社の業績を調べたところ、6割近い102社が赤字でした。電気の販売以外に事業を手がけていない『一本足打法』の会社ほど厳しく、新規契約の受け付けをやめたり、料金体系を見直したりするところもあります」

 合併や再編の動きも目立ち、電力会社の切り替えにはより慎重な判断が必要だ。電気・ガス料金の比較サイト「エネチェンジ」の広報、中田都季子さんはこう話す。

「まず各社のサイトにあるシミュレーション機能や比較サイトで、切り替えると価格がどう変わるかを調べるのが大前提です。そのうえで自前の発電所を持っているか、卸電力市場の価格の影響を受けにくいプランかをチェックしましょう」

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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