1986年5月に来日したチャールズ皇太子とダイアナ妃
1986年5月に来日したチャールズ皇太子とダイアナ妃

 英王室を離脱したヘンリー王子(37)が初の回顧録の出版を準備している。これまで妻のメーガンさん(40)とともに王室批判を繰り広げてきたことから、この本にも「かなりの暴露があるのでは」との観測が広がる。ただ今年に入り、発売が何度も延期されている。なんでも”強力なライバル”が出現したからだという。

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「生まれながらの王子としてではなく、一人の男として臨みたい」

 ヘンリー王子は昨年7月、出版への意気込みをこう語った。版元は米大手出版社ペンギン・ランダムハウス。同社が支払った前金は2千万ドル(約26億円)にものぼる。「相当な暴露」が見込まれるのは、世界で大ベストセラーにならない限り、桁外れの”投資”が回収できないからだ。

 回顧録といっても、執筆するのは作家でジャーナリストのJ・R・モーリンガー氏(57)。名門イエール大学を卒業し、ロサンゼルス・タイムズに寄稿した記事で、2000年にピュリツァー賞(特集報道部門)を受賞した。自身の回顧録が映画化され、テニスのアンドレ・アガシ選手らの回顧録も手がけるなど、高い評価を得ている。俳優のジョージ・クルーニーさんが王子に紹介したという。

 モーリンガー氏は「回顧録が失敗するなら、それは本人が心を明かさないと決めているから。正直であることがもっとも大切である」と語る。

 となると、王子の赤裸々な過去や英王室に対する本音を引き出せるかが、回顧録の成否=売れるかどうかの鍵を握る。

 王子は出版にあたり、自分を形作った経験や冒険、喪失、人生での教えを記すとした。11歳でタバコと酒に手を出し、母ダイアナ妃の死後、14歳でアルコール依存症になった。18歳の時にはラスベガスで全裸で女性と戯れ、20歳の頃にはナチス・ドイツの制服姿で仮装パーティーに参加するなど、すさんだ生活を送った。それを一変させたのが、10年にわたる陸軍での日々だ。アフガニスタン前線に2度派遣され、仲間との友情も育んだ。

 ここまでは世界の多くが知るところ。覗きたいのは王子の胸の内だ。

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多賀幹子

多賀幹子

お茶の水女子大学文教育学部卒業。東京都生まれ。企業広報誌の編集長を経てジャーナリストに。女性、教育、王室などをテーマに取材。執筆活動のほか、テレビ出演、講演活動などを行う。著書に『英国女王が伝授する70歳からの品格』『親たちの暴走』など

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